arr2000sms537a去年創業20年を迎えたArran(アラン=Isle of Arran)蒸留所だが、小生もここ1年で限定ボトリングの物を数本購入している。
スコッチウィスキー全体としてはここ10年ほど見せた勢いに翳りが出始めた感もある、その中にありながらArran はその勢いをまだ加速させそうある。ここの酒は近年あまり外さない、レベルも信頼性も上がってきている。酒自体それなりに丁寧に作っているというのは良く判る
本当に初期の酒は随分卦体(けったい)に感じたものだが、近年出たボトル達は方向性も定まってしっかりして安定感もある。よくぞここまで上がってきたと賞賛に値する。
今スコッチモルトの蒸留所の中で一番ノッているのはこのArran ではないかとすら思えるのである。


大手資本傘下にある他の大多数の蒸留所だと、ブレンディドウィスキー用の原酒を大量に生産する事をある程度優先しなければならないが、この蒸留所はインディペンデントなのでそれがない。この部分がかなり幸いしているように見える

Arran という蒸留所、1994年12月にHarold Currey(ハロルド・カリー)氏の下で、同島北部ののLochranza(ロッホランザ)にて建設開始、翌95年8月から操業開始。
カリー氏はChivas Bros. (シーヴァス・ブラザーズ)の出身で自身の夢を叶えようと独立。

80年代はどん底にあったスコッチウィスキーの業界も、90年代半ばになると少しずつ立ち直りの兆しを見せて、休止中の蒸留所が幾つか再稼動していたものの、活況とまでは言えない時期だった。


あまり注目されなかったアランの島だが、敢えてそこを選んだのは、アイデンティティを明確にしてインパクトを出すのと同時に、雨の日でも観光出来る場所を作って資金繰りの足しにするという計算もあったらしい。かくして1995年夏、同島で約160年振りとなるウィスキー製造が始まったのである。

カリー氏は今年3月に死去したが、今年の秋から1対2基の新たなスティルを増設すべく工事に入った。これで、蒸留は1対2基から2対4基の体制となり、年産120万リッター(アルコールベースで)まで生産が可能になるのである。
この蒸留所の強気は続き、同じ島の南側のLagg(ラグ)に新たな蒸留所も建設中で、2年後のオープンを目指しているのである。
1995年にデビューしてから数年(1998~2000頃)、試行錯誤も経てその間にスティルも初期の状態を終えてそこから酒質が安定し向上した様に見える。
ただそこからスティル増設、第2蒸留所開業となれば、これを機に酒質も又変わる可能性がある。


世界経済が停滞気味の基調にある中、この事が吉と出るか凶となるかは判らない。基礎的な需要は以前に比べて確実に大きくなってはいるので、然程悲観すべきものではないかも知れない。
世界中で雨後の筍の様に登場してきているクラフト・ディスティラリーにとって、このArran は良き手本にして目標となる存在になりつつあるのは間違いない。
今回の増殖がしくじりにならない様に願いたい所である。
(画像はスコッチモルト販売向け限定ボトル2000-2016 16yo Sherry cask 53.7%)




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