Friuli-Venezia Giulia(フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア)って何処かお分かりか?
イタリアの北東の端にあって、州都である Trieste(トリエステ)が有名な街だが、サッカーファンなら Udine(ウディーネ)を思い起こすかもしれない。近代史では「未回収のイタリア」として覚えている方の多いのではないか。ワインの産地としては白が70%と圧倒的に優勢で、醸しをする白ワイン=俗に言うオレンジワインも注目を浴びている。


今回フィーチャーするBressan (ブレッサン)はフリウリきっての銘醸を産する名門、赤・白共々名声を博している蔵。18世紀前半にGiacomo Bressan(ジャコモ・ブレッサン)を初代として築かれたBressan のファミリーだが、Biagin、Michele、Michele Jr. 、Domenico、Antonio、Luigi、Nereo、そして現当主・9代目のFluvio L. Bressan(フルヴィオ・L・ブレッサン)という歴史を持つ。

葡萄樹は1ha当り5000本という植密度で仕立てはシングル・グイヨ式、1本当たりで収穫量を1㎏以下に抑えている。醸造も天然酵母オンリーで「自然発酵」という手法を取る。畑の土壌だが、表層部は砂利でその下は砂礫で更に下は粘土又は泥灰で保水力も確保しているので根は5m程度まで伸びるのだという。

Scioppettino(スキオペッティーノ)はあまり聞き慣れない名前かも知れないが、イタリア・スロベニアの国境付近に当る場所が発祥とされる品種で、13世紀にはこの品種でワインが作られたという記録がある。そんな伝統ある品種も19世紀終りから栽培が減ってしまった。1960年代には100本以下の葡萄樹しか残っていなかった時もあったが、70年代になってRonchi di Cialla(ロンキ・ディ・チアラ=こちらも今や名門)によってスポットが当てられ漸く絶滅を免れる様になり、その後は栽培が増えている。

この生産者だが、赤ワインではフリウリの代表品種Schioppettino(スキオペッティーノ)を筆頭に、土着品種Pignol、フランスから渡って来たPinot Nero (Pinot Noir)Cabernet Sauvignon / Franc 更にはMerlot といった所の品種から7種類のワインを生産し、白ワインではMalvasiaFriulano(Sauvignon Vert)Ribolla GiallaPinot GrigioVerduzzo Friulanoといった品種を駆使して3種のワインを作り上げる。更に此処のワインは単一品種で構成するワインと、複数品種のブレンドで作るものに分れている。

num3bres2k1a今回取り上げるNo. 3(Numero Tre)CSPino NeroSchioppettinoの混醸で作られる赤ワイン、葡萄はディステム(除梗)され圧搾に掛けられる。1次発酵後フレンチオーク225ℓ の小樽で30日間の2次発酵を施す。一旦ステンレスタンクに移された後、2000リッターのオーク大樽で最低1年は熟成される。更に瓶熟も15ヶ月以上行われる。この生産者でもこの赤ワインが一押しになっているらしい。

ワインのインプレッションに漸く入る事にするが、先ずはカラー。若干レンガ色の入りかけたややくすんだガーネット、深度は中程度。
ワイン自体だがフローラルは感触に驚く。いきなり出て来はエレメンツは薔薇のドライフラワー野薔薇スミレ、ラヴェンダー、そしてラズベリー、苺
そこからの後続としてはMaraschino、ブラックベリー、レッドサワーチェリー煎ったカカオビターチョコ
その他のバイプレーヤー達としてはラプサンスーチョン、プラムクランベリーブルーベリーDrambuie、キームン
更に楠、ライチ、丁子、Jägermeister、白檀なんていうのもあって、最終的にはKirsch、Earl Greyが返りの中でほのかに響く。



カベソーとピノでブレンドってあまり考えられない上に、そこに土着品種のスキオペッティーノってテイスティング前は訳が分からなかった。そんな憂慮や警戒は全く意味を持たないものだと直ぐに分かった。

ボディはそんなにボールドという訳ではないがその広がりは水平方向がやや目立つ、酸はややシャープながらクリアで美しい。開始当初フローラルが圧倒していたところから時間経過と共にややスモーキーでスパイシーな部分を出して来る。タンニンはやや甘苦く感じるが、しっかりした酸とのコンビネーションがかなり良い。独特のブーケを拡散しながらしなやかだけど主張はハッキリと強いのが長く続く。非常に良く熟成した梅酒の様なタッチに移行しながら、柔らかく広がって行く。アフターも盛り上がりを見せながらかなり長い。
シルキーで軽快、展開の微妙さ加減と豊富さには感心する。ワインを飲んで30年となる小生も改めて勉強になる1本で「ワインはイイぞぉ~!」と言わせてくれる綺麗な液体だった。


スコアリングの結果発表だが…、18.5 or 19 / 20



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