今回フィーチャーする Roagna (ロアニャ)と言えば、Barbaresco (バルバレスコ)では老舗中の老舗。この生産者は1880年創業なのだが、バルバレスコとしてのワインが作られ始めたのは1890年の事。現在この蔵のプレスティージュを形成する銘醸畑は20世紀に入って取得したものである。
Montefico(モンテフィコ)=1929年、Paje (パイエ)=1953年、Asili(アジリ)=1961年
" Roagna non cambia "=「ロアーニャは変らない」というのがこの蔵のポリシーで、初代の Vincenzo Roagna (ヴィンチェンツォ・ロアニャ)からの5代目で現当主のLuca (ルカ)もそれを公言して止まない。その言葉の通り創業時から100年以上、葡萄栽培からワイン造りに至るまでそのやり方を殆ど変えていない。化学肥料どころか有機肥料すら使わない。葡萄以外の色々な植物と敢えて共棲させる事で病虫害にも強く高品質な葡萄が育つと考えていて、醸造も極めてクラシックな方法を採用し続けている。マセラシオン(醸し)に100日も掛けている蔵なんて今の時代にはここ以外まず見当たらない。SO2 も瓶詰時に僅かな量を使うだけ。
そんな頑固一徹の権化みたいなこの蔵のワインだが、一時期は所謂モダン系のワインに押され気味で過小評価気味だったがここ10年で評価も価格も鰻登り。本人達は何も変わっていないのに、市場のスタンスと取引価格だけが勝手に変わっただけだと思っているのかも知れない。


barbpaje97roa01ここでは、ロアニャのフラッグシップの一角を占める Barbaresco Paje の1997年を紹介する。

ワインのインプレッションに入るが、色はレンガ色の入りかかったガーネットで深度も結構ある。
拾い出せたエレメンツを挙げて行くと…
先ずはリコリス、煎ったカカオ(アジア系)ローズヒップ、ラズベリー、野薔薇、野苺
その後からスターアニスブラックチェリー、ブラックベリーシナモン、クローブ、杜松(ジュニパー)
更にはcrème de cacaoBénédictineCognac という追撃が来る


スワリングすると、タンニンと酸がまだまだ強いが、その下から非常に良く綺麗に溶け込んだ旨味感がステディに染み出して口内を支配する様になる。そしてそれが抜けと返りとアフターまで繋がっている。香味は熟成しましたみたいな所がタップリで、返りもアフターも結構綺麗できちっと長い。総体的に決して派手ではないから少々拍子抜けするかも知れないが、中間からアフターにかけての部分はさすがとしか言い様がないものの、硬質感があって少々内向的で硬さも残っている。まだ覚醒する前だったのかも知れない。

1997年は酸という部分でやや苦戦しバランスが取り難かった年の筈だが、これが1996とか2001といった素晴らしいバランスまで備えた年だったらどんな表情を見せてくれるのだろうかと考えてしまう。



「世の中に出回っている大部分のNebbiolo (ネビオーロ)が、その本当の個性を発揮できる前に消費され、誤った評価を 受けてしまう。これではネビオーロのワインの良さは伝わらない」
そう言ってはばからないロアニャだが、それには御尤もとしか言えないし、100%共感する小生である。
Nebbiolo は serious, stern and austere であってこそホンマモンと声を大にして言いたい。


スコアリングの結果は… 18.5 / 20



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