先日神奈川新町駅すぐの踏切で起きた事故は先週の主なニュースのひとつになってしまった。そして昨日は常磐線の勝田~佐和間で軽自動車絡みの踏切事故が起きている。

この様に大型トラックと列車が踏切で絡んだ事故といえば、2013年2月12日に山陽電鉄本線荒井駅付近(高砂市)で起きた事故が記憶に新しいと思われる。
駅西側の神鋼前踏切で大阪方面の直通特急山陽5630F が踏切内で立ち往生したカーキャリアと衝突した後、荒井駅の上りホームに衝突し6両全てが脱線したという事故である。踏切の直ぐ先が赤信号で抜けられるスペースが足りなかったにも関わらず踏切内に進入、カーキャリア荷台後部のスロープが降りた遮断棒に引っ掛かってしまい、それを下げたところで直特が衝突した。
大型車運転手は直前で脱出し無事だったが、自動車運転過失傷害罪で逮捕された。(最終的に執行猶予付きの有罪判決、雇用主の運送会社も行政処分を受けた)
直特の運転手を含めた15人が重軽傷、すぐ近くにいたタクシー1台が巻き添えを食って廃車になり、線路沿いの民家にも損壊の被害が出た。


kqrt602@kansm01
神奈川新町で保存されている元・レール探傷車? 件の踏切の西側から撮影=2012年

今回の京急の事故だが、上述の山陽電車の事故と違い、鉄道用の設備に被害は出たものの、周囲にいた他の車や沿線の建物に被害を出す事はなかった。ただし、大型車のドライバーは死亡した。
この事故で犠牲になったのはドライバーだけではない、京急現1000形の1137編成(1137~1144)SH 快特で三崎口に向かう途中で被害を受けた。三崎口側の先頭だった1137号車は大破した上に、編成の内何両が証拠として押さえられているか分からないが、警察や運輸安全委員会の検証が終わらないとこの先の処理は進められない。


sy5631@kasmg01
全車修復で廃車・代替新造を出さずに復帰した山陽5630F 2017年8月

kq1137@sing01
SH快特運用につく1137編成 品川第一踏切にて

1137号車は廃車→代替新造という可能性が高いと考えられる。山陽5630F は6両全て修復を受けて2年3ヶ月後に全車復帰を果たしているが、両者間でアルミとステンレスという構造の違い等々、事情は違う上に今回の1137のダメージの方が大きい様に見える。
そこに続く1138・1139号車はどうなるか?一見すると大きなダメージを受けていない様にも見えるが、あれだけの事故なので意外と深刻なダメージがあるかも知れない。
当該編成は10次車として2010年に生まれたので、減価償却計上期間中に事故にあった事になる。
編成全体の廃車は考え難い。8両編成は予備車があまりないようであるから、何とか早く復帰させたいのも間違いない。しかもSH 運用は都営浅草線に入る関係で8連貫通でないとマズい。
1137は代替新造となっても、1138・1139は修復か代替新造になるかは分からない。何れにせよ編成中で検査時期が異なるというややこしい事態は避けたい。
修復や代替新造が終って8両揃った時点で編成全体の全検を受けさせれば、全検時期を統一できる筈である。更に小生の提案としては、この際であるからいっその事京急らしさの「厚化粧君」に変身して1233編成として改番、忌まわしい事故を振り切る様な形でリスタートさせてやったら如何だろうか?


kq1137@ttis01
銀千を脱ぎ捨て厚化粧で復帰したら面白いか?

kq1637@kan01
厚化粧君の一例、1637編成 1137編成もこの仲間入りが望まれる?

私鉄沿線ではよくある事だが、線路が住宅地の中を走っているというパターンは京浜急行でも多い。駅周辺や線路沿いの道は狭い。京急でも横浜以北ではJRの直ぐ東側を走り、その又東側を国道15号が走っている。小生もあの辺は月3~4回程度はあの辺りを通行する。
花月園~神奈川間では国道との距離は縮まり、国道と京急の間の場所は本当に狭く、大型車が入れる様な道は本当に少ない、ましてや2桁トン数のサイスで長さも10m超えなら本当に限られる。一旦国道15号より港側に回り込もうにもあのサイズだと適した道は意外と少ない印象である。
事故を起こした運転手は67歳だったらしく、長年大手に勤めた後の再就職でその会社に入ったと思われるが、横浜のあのエリアの土地勘や道の知識もなかった可能性は高い。
大型トラックやトレーラーではそもそもナビを付ける(使う)事が出来ない会社が殆ど。それこそ車種によっては法律上、予め許可された道路しか走行出来ない場合も多い。そんな所で思わぬミスを犯して冷静な判断も出来ず、年齢も年齢だけにパニックに近い状態になった可能性は高い。


当該大型車は横浜市神奈川区出田町(いづたちょう)の倉庫を出発し東関東自動車道方面に向かう予定だったとされる。R15 の出田町入口で左折して一旦下り線を走行し神奈川2丁目で転回して首都高K1横羽線東神奈川入口から東京方面に入る手筈だった模様だが、その交差点では15号からの右折と交差道路からの左折が同時になるので転回は見た目以上に難しい。

では、どういうルートだったら安全円滑に行けただろうかというのを小生も実走調査してみた。ただし、個別の道路における走行許可の有無等の問題は考慮に入れないものとする。
神奈川2丁目で左折してコットンハーバー方向に向かい瑞穂橋手前で右折し瑞穂大橋を抜けて橋本町2丁目を左折、コットンハーバーを右に見ながら高架道路を抜けて市場交差点で右折。市場通りを走って中央市場入口交差点で更に右折し15号線に復帰するのが一番簡単な方法と思われた。勿論この逆の手順でも行ける。
他のルートとしては市場通りに入らず、みなとみらいTN を経由してリング状の歩道橋で有名な新港交差点で右折、万国橋・本町4丁目を経由してランドマークの交差点でみなとみらいから首都高に入るルートも可能である。


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こんな所にでも迂回すればあんな惨劇にはならなかった…万国橋から

その後生麦のこの酒屋に顔を出して、店主氏と談笑をしていたらこの事故の話になった。店主氏は小生も見落としていた重要なファクターを指摘してくれた。東関道方面に行くというのに、出田町入口で左折した事自体不自然だという事だった。その交差点を右折して国道15号を北上、大黒町入口で再度右折して神奈川産業道路に入って大黒埠頭入口から首都高に入れば済む話だったのである。東神奈川から首都高に入るという選択自体がそもそも合理性を欠くものだったという結論に至った。これだけだと。ドライバーにそんなルート選択を指示した会社側の指導も明らかにおかしかったと見えるが、走行許可等の事情があっての事だったかも知れない。
転回する所を右折して狭い道に入った時点で道路法違反等の事由により運送会社も厳しい行政処分を受ける可能性が十分にある。


この事故が運送業界に於けるドライバーの高齢化という深刻な問題も露呈する結果となったのも間違いない。70歳近くになっても過酷な運用に就かなければ生きて行けないドライバーが多いのも事実で、プロのドライバーとしてあってはならないミスによって重大事態が起きてしまうリスクも高くなる事は頭に入れなければならない。




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