Domaine Fourrier (ドメーヌ・フリエ)は長い歴史を持つドメーヌである。Gevrey-Chambertin (ジュヴレ・シャンベルタン)に本拠を置くこの蔵が保有する畑は10ha程だが、その約7割が 1er (1級)又は grand cru (特級)という恵まれたラインナップである。その上、この蔵の情報として、葡萄の樹齢が非常に高いという事がやたら目立ってしまうが、樹齢の高さをやたらアピールするのは過剰なセールストークと思った方が良かろう。
因みに今回取り上げる 1er cru Clos St-Jacques (クロ・サン・ジャック)は1910年植樹という事だが、その当時からの樹なんてとっくに改植されている可能性は十分にある。


現在の当主=Jean Marie Fourrier (ジャン・マリー・フーリエ)は1971年生まれで現在47歳だが、このドメーヌを引き継いだのは1994年。当時父親の Jean Claude (ジャン・クロード)もまだ50歳だったのにリタイアして、23歳の息子に譲った事になる。

そのワイン作りだが、現代の主流である完全除梗を採用、新樽比率は20%。発酵中は1日当り4回の人手に依るパンチダウンで、ポンプオーヴァーは絶対にしない。発酵後は一旦12℃までクールダウンして早過ぎる乳酸発酵を防止している。乳酸発酵後、その際に出たCO2 をワインと共に残して酸化を防ぎフレッシュさを保つという事もしている模様。
因みに、使用する樽は高圧蒸気で洗浄するらしい。


この1999ヴィンテージを購入したのは正確には覚えてはいないが15年近く前の事だった。当時はまだ7000円程度だったし、特級でも1万円を切っていた。その後は人気が出た事、投機的資金もマーケットに流れ込んだ事に加えて、前記事でも述べた様に収穫量の著しい減少に見舞われ続けた挙句、15年前の4~5倍の相場に跳ね上がってしまった。
(それでも成金達が己がワイン通であると示すために御馬鹿な買物をしまくるので、直ぐに売り切れる)



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色はやや深度のある若干暗めのガーネット
見つけたニュアンスを並べると、リコリス、カカオニブ焼きたてのバゲットラズベリー、野苺、野薔薇、ハイビスカスティー、ローズヒップ丁子、シナモンブラックベリー、ブルーベリー黒文字オールスパイス、エスプレッソ


拾い出せるエレメンツの種類が思った程ではなかったが、その一方では躯体はそれなりに綺麗に纏ってこれといった弱点はない。
酸・タンニン・凝縮感もしっかりだが、タイトさはなくなり始めている。1999という年の特性なのか?この蔵の作りなのか?果実味の出方も少々ジャミーな所がある。余韻は結構な長さを確保している所には救いがある。

悪い事に、途中から単調さが目立ち始める。このワイン自体はまだまだ持つであろうし、熟成もして行く余地はあろうが、ここから更に大きく展開する余地が大きいとは思われない。

たかが 1 級やからこんなもん違う?といえばそれまでかも知れないが、特級に限り無く近いとすらいわれる Clos St-Jacques という畑を考えると感動が薄い。作り手としてはピュアな部分を全面に押し出したつもりだろうが、そこが裏目に出た様にも思える。


1999のブルゴーニュは天候が順調過ぎて葡萄が少し焼けた感じになってしまった傾向があったとされ、樹勢のコントロールも難しかったと言われる。掻き芽をした後に遅れて出て来た芽から結実した葡萄までが熟してしまったという普通ありえない事も起こったらしい。

そういう中で1997・98の低収穫を補おうと欲張って収量を少し上げた生産者も多かったと聞く。出た当初こそ非常に期待されたものの、年数を経てみると選択が意外と難しいヴィンテージだと思った方が良かろう。

最後、いつもの通りにスコアリングすると・・・  17 / 20




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