Val de Loire (ロワール渓谷)で産される白ワインの中でも超一流の物で、長期熟成したボトルを去年入手していたので今回はそれを取り上げる。生産者をタイトルでは Gitton (ジットン)と書いているが、正しくは Domaine Gitton père et fils (ドメーヌ・ジットン・ペール・エ・フィス)

Sancerre (サンセール)を代表するこの蔵は1945年、Marcel Gitton (マルセル・ジットン)氏の手によって創業。当時所有していた畑の面積は僅か1.5haだったが、その後現当主の Pascal Gitton(パスカル・ジットン)氏に代替りしてから順調に勢力を拡大し、現在ではSancerre、Poully Fumé(プイイ・フュメ)、Puilly sur Loire (プイイ・シュル・ロワール)、
Côteaux de Giennois (コトー・ドゥ・ジェンノア)といったロワールの白の銘醸地に合計36ha程を所有。更にはロワールを飛び出してSud-Ouest (西南地方)ののCôte du Duras(コート・デュ・デュラ)にも進出している。

畑のパーセル(小区画)毎に別々の醸造を行うというのは今でこそ余り珍しい事ではないが、この手法をロワールで最初に行ったのがこの生産者とされる。この手法を採った背景としてはテロワールの多様性をワインの個性に反映させるという事で、畑を買い集めるに当っても闇雲にではなく、テロワールやミクロクリマ等の条件を吟味して集めたからこその拘りという事でもあるらしい。
そしてそこから更に深く突っ込んだ鬼畜レベルの妥協を許さない拘りの数々によって、最大で30種類のキュヴェを作り分けられる模様だが、その中で作られる種類は年毎に違う。
このドメーヌ御自慢の「サンセール軍団」の頂点を極めた特別なワインが、このワインと Les Herses d'Or (レ・エルズ・ドール)、X-elis (イクセリス)とされる。


sanclbd90git01ワインの名前が長いと思われるだろうが、Les Belles Dames
(レ・ベル・ダム)
は畑の名前で、そこから生まれた特別なワインとして Marie Laurence (マリー・ローランス=パスカルの妻・物故者)の名を冠している。葡萄の糖度が非常に高い年に生産される様で、アルコール度数が13.5%とここのワインにしては若干高い。


ワインをテイスティングしたインプレッションに移るが・・・
色は殆どゴールドで深度もしっかりしている
第 1 のディレクトリとしては蜂蜜、楠、カモミール、ヘリクリサム洋梨焼林檎
続く第 2 のディレクトリの中から顕れたのは、熟した梅黄桃
ミラベルTarte d’orange、サンダルウッド、
その後は、パインパパイアパッション、キュンメル、ジャスミン、
キャロットシード 
更には白ワインでありながら何と微かなランシオ香が染み出てきて(27年という熟成の賜物か?)、更に後からムスクが付いてくる。


ワインの躯体自体に関しては酸もまだそこそこしっかりして、この先も急には落ちないと思われる。温度が低いとタイトで淡い感じになるが、温度が上がり時間経過も加わると梅酒の様なタッチと喉越しが長く続く様になり、同時に丸く柔らかく広がり厚みを増すが、ダレる事は決してない。


華やかさと薫り高さがウリとされるこのワインに対しては強力な密度感というものは感じにくく、駆け登る様なアフターを期待するとやや外れてしまうものの、そのじんわりとしたソフトな余韻はかなりの長さを呈する。賛否が分かれる部分もあるだろうが、さすがという他はない。


上述の様に良い意味でウルトラぐう畜なドメーヌだからこそ、この様な超ぐう聖ワインが産まれるという事である。

いつもながらにスコアリングすると・・・ 18 / 20



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