Bar Ginza Zenith (ギンザ・ゼニス)という名を耳にした事のある御仁達は多いかも知れない。
銀座の名店である「絵里香」
註1から独立した須田善一氏の下、チーフバーテンダーの三浦龍ノ介氏を擁して、去年春に10周年を迎えたまだ若い店ではあるがその人気と名声はなかなかのもの。
その店の10周年を記念して去年4月にリリースされたのがこのボトルだった訳だが、外部への販売分は予約だけであっという間に Sold Out だったらしい。

BBR (Berry Brothers and Rudd=ベリー・ブラザーズ・アンド・ラッド)の " Berry's Best " シリーズの中の1本としてボトリングされたが、この画像にあるタイプのラベルは「コーヒーミルラベル」と呼ばれて、特別なものにしか使用が許可されない。即ち、樽(原酒)を提供した BBR サイドからも特別というお墨付きがあったという事で、外見からしても期待値が高い。
これをテイスティングしたのは銀座ではなく、何故か北新地。大阪を訪れると殆ど毎回お世話になる Bar Parkmore (パークモア)で先月末にテイスティングした。


gellach90bbr484aCraigellachie (クレイゲラヒ)という蒸留所は、嘗てあの White Horse のメインモルトを担っていたのは有名。1930年以降は D.C.L. 傘下に入りその流れでU.D.V. グループの一員として過ごし続けたが、1998年そのUDV がDiageo (ディアジオ)を結成したのを機に、Bacardi (バカルディ)売却されて、今に至る。
最近ではシングルモルトとしてオフィシャルボトルのリリースもあり、蒸留所のスタイルというものも徐々に知れ渡りつつある。今回のこのボトルの良さは Craigellachie という酒の基本的キャラクターを知っていないと理解できないであろう。


さて、このボトルのインプレッションに入ると・・・
色はやや薄めで、ストロー
香味のエレメントを挙げて行くと・・・、先ずはミネラル、木材白桃
林檎洋梨ライチミラベル
続いて乳酸飲料類、ルブローション(ウォッシュ系フロマージュの一種 
註2
更にはマロングラッセ焼いたアーモンドクリーム生八橋が現れ、
時間経過と共にジンジャーシロップ、キャロットシード、ヘリクリサム、セロリルート、ヘーゼルナッツ、胡桃といった辺りが追加的に顕れる。


香りはおしとやかで奥ゆかしくソフトな出方だが、その一方でこの蒸留所にありがちな硬質感がボディと舌触りに時折見え隠れする。それでも基本的にはシルキーである。

この両面の間隙を縫うように出てくるモルト感はかなりソフトでスロー
この辺のギャップは凄いが、結構厚くてエンジェルタッチ的旨味感が長く続く。
あまりにも綺麗に重合してしまっているのか、エレメンツを素因数分解する様に拾い出して行くのが非常に困難

表立っては雄弁に語らず、行間を読ませて色々忖度と想像を要求するウィスキー。飲み手泣かせで繊細にして難解ではあるが、神経と頭脳を使わせる明らかに中上級者向けの一本。小生がこんな所で言葉を弄してもこの酒の素晴らしさを伝える事に限界があるのは眼に見えているのだが・・・

実はこの後日、生麦のこの酒屋を訪れた時にこのボトルの話になり、「本当に良い酒は早々簡単に手の内を見せない」と言われたのだが、なるほどまさにその通りという事か。

いつも通りにスコアリングしてみると・・・、18 or 18.5 / 20



註1)1968年7月に銀座6丁目に開業したカクテルを主体に推すバー、店としては比較的小さいが銀座でも指折りの名店。
(つまり、店自体は ゼロロク 583系 485系 と「同期生」になる)
オーナーの中村健二氏は50年以上のキャリアを誇り、バーテンダー界のレジェンドの一人。「スタア・バー」で有名な岸久氏もこの店にいた事がある。

註2)フランスのSavoie (サヴォア)地方特産で、セミハード系とウォッシュ系の中間的なフロマージュ。Reblochon と表記するが、再び絞るという意味がある。牧場主に徴収される牛乳の量を減らすため、搾乳の際に一回で絞りきらずに、2回目の搾乳を行いその2番絞りを素に作られたという事から由来する。



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