デビューから15年以上が経った今も増殖が止まらない京急1000形、製造数も初代の356両を越えて、遂に400両の大台に乗ったのである。まさに「1000形のどこまでやるの?=千どこ」という状態になっているが、京急この車両を鉄道界の欽ちゃんにでもする気なのだろうか?

それはともかく、去年末更なる笑撃的展開があった訳だが、ステンレス車体ながら全面塗装を施した17次車が登場するというものだった。
納車前の6連車が川重に留め置かれていた動画がウェブに上がっていたので、それを見た時点で、新しい奴はラッピングではなく塗装に違いないと感付いた。ドア枠窓枠まできっちり カラーリング されていたからである。(京急の公式発表より前である)
J-TREC 製造分の1201編成はフロント部分以外を納車後に久里浜で塗装したのである。


今回の塗装ステンレス車導入についてだが、賛否両論があるというより、批判的な意見が目立つ。
「塗装による環境への負荷を無くす為にステンレス車体にしたのに、それを今更塗装するというのはおかしい。」「こんなに彼方此方違う車を1000形として一括りにしているのは筋が通らない。」「京急らしさというものが明確でなく、毅然とした態度が見られない」「一部の利用者に媚を売った結果、一貫性がなくなった」
そうした批判的意見の根底にあるのが、「ステンレス無塗装=エコ」という論理だと思われるが、これははっきり言って乱暴すぎる。そんな事を言うのなら、アルミ車体の方が軽量化に寄与して長期的には「エコ」なのではないか?
この論理は恐らくJR を中心とした一部の企業の意向を汲んだ「専門家」と称する連中の刷り込みを鵜呑みにした結果としか思えない。
 

kq1049@jtc02
快特運用に就く1049編成 2017年11月・J-TREC のある所にて

kq1331@jtc01
エア急として走る1331編成 1049編成と同日同所

kq1607@tsmg02
普通運用で浦賀に向う1607編成 2017年12月・鶴見川の橋梁にて

ステンレス車両に塗装を施す事自体について「非常識」等と言って非難するつもりは毛頭無い。南海1000系箱根登山3000形は塗装車体で登場し、EF81-301・302号機は無塗装=銀ガマだったが、常磐線に一時期転属した際に塗装され今もその儘である。JR 九州883系(白くないソニック)も2005年以降、登場時の無塗装からブルーメタリックに塗装されている。


一貫性を重要視するなら、2007年の ステ千 導入時点で一貫性は失われ、その際に形式名を変更すべきだったという事も出来るが、西武6000系だってステンレスとアルミの両方が存在している。あの0系新幹線電車は20年以上に渡って製造される間に仕様変更を繰り返し「0系であって0系ではない」という言葉を生んだ程である事を鑑みれば、一貫性云々というのは余り説得力を持たない様に見える。

塗装したいならアルミ車体に戻すべきだという意見も多いが、それをやろうにも今更出来ない事情でもあるのだろうか?
一部ではこの様な事象を指摘する声もある。それは京急がJ-TREC と手を切る事が出来ないからだという事である。
1950年代以降、それこそ吊掛駆動の500形から京急の車両の製造は J-TREC (旧・東急車輛)と川重で占められている。その一方で西武・東武はアルミ車体導入に際して発注先を東急車輛(現・J-TREC )から日立に変更している。


J-TREC から金沢八景駅を通り神武寺駅手前まで線路が繋がっているが、これは東急車輛の横浜事業所が元々旧日本海軍の工廠だったので、武器輸送のため京急逗子線の線路を接収していた時代があった事の名残でもある。そこに上述の話の原因があるというのである。
J-TREC は現在ステンレス車体に特化しているに近い状態である。塗装アルミ車体も作ってはいるが、限定的なものに留まる。よって、アルミ車体の再導入には他の私鉄と同様に J-TREC と手を切り日立若しくは川重等に発注する必要が生じると考えられるが、上記の事情があってそれは不可能=ステンレス車体を続ける事を強いられると指摘する声もあるのである。


この点だが、線路が繋がっている事だけを取って、J-TREC と手を切れない事も無いと思われる。そこはビジネスという所でもあるので、お互いその辺は割り切れる筈である。
京急は1942年に大東急に合併されて、1948年の独立時も大東急の第3会社としてだったという過去もあるが、東急車輛も今やJR 東日本系列のJ-TREC であり、東急京急の主要株主に名を連ねているわけでもない。大東急時代からの奴隷根性的慣習をを打捨てるべくJ-TREC と手を切ったとしても非難される謂れは無かろう。
現に京急は川重でもかなりの両数を発注しているので、京阪と同じ様にアルミ車を川重に発注する事に関しては何の問題もない様に思われる。



1000形を彼是いじくり回しても、所詮は1000形である。1000形に埋め尽くされた京急は見たくない。名古屋のあのサイコパス鬼畜鉄道会社みたいになってはならない、1000形を「私鉄の313系」にしてはならない。
「どこまでもやる」のではなく、新形式による思い切った新展開を見せるべきではないか。京急らしさを失わず、全くの新展開による進化をそこに追加するタイミングが迫っていると小生は考えるのである。70回目の independence day (インディペンデンス・デイ)はもう直ぐそこである。




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