Dufftown 街角ミュージック

穏健リベラルの波とマイナーパワーがこの世を救う

2016年9月、FC2 から移転。
Blairfindy1号2号から大文字左京(だいもんじ・さきょう)に改名しリスタート
旧名義の画像が混在しているのは御了承願いたい

記事並び画像の無断使用転載はこれを固く禁ず!
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wine

Mas de Daumas Gassac Rouge 1998

Mas de Daumas Gassac(マ・ドマ・ガサク)といえば、南仏でも指折りの銘醸品となったが、その創業者である Aimé
Guibert(エメ・ギベール)氏が去年5月中旬に91年の生涯を閉じた。(ドメーヌ自体は2000年から子供達への引き継ぎを開始)

このドメーヌは1970年、Languedoc(ラングドック)のAniane(アニアーヌ)という所で産声を挙げた。パリの皮革メーカーの経営者だったギベール氏が、Montpellier(モンペリエ)近郊のVal de Gassac(ガサック渓谷)に農場を購入したのがきっかけ。
そして、ボルドー大学教授で地質学の権威だったHenri Enjabert(アンリ・アンジャベール)氏から、その土地がボルドー系品種と相性が良いと教わって、1972年に Château La Mission Haut Brion(Ch. ラ・ミッション・オーブリオン)から
Cabernet Sauvignon(要するにカベソー)の苗木を譲り受けて先ずは10haを植樹した。
そして、当時ボルドー屈指の醸造家で大学教授でもあったEmile Peynaud(エミル・ペイノ)氏の協力を得てワインの質の向上に取り組むと、世の評論家達を悉く唸らせてその名を欧州に留まらず世界に広げて行った。


創業から半世紀近くを経た今、現在は森林に囲まれた中に合計52haの畑が点在するまで拡張している。此処の葡萄栽培の重要なポリシーの一つが多様性で、畑に植えられる葡萄はトータルで50品種近くに上る。
しかも古い品種と古い苗木を大切に使いましょう運動を頑固に展開し、市販のクローンは使わないのもポリシーとの事。


gassac98aワインのデビューは1978年ヴィンテージ。その後はあっという間に「南仏のラフィット」、「ラングドックのグランクリュ」等と持ち上げられていちびったのは有名な話。
赤と白の両方を生産するが、赤のセパージュはカベソー80%~90%にその他10品種を混醸、白はChradonnay(シャルドネ)及び
Viognier(ヴィオニエ)主体にその他6種類をブレンドして作られる。


(テイスティングは今年の4月)
色はかすかにルビーパープルを残したガーネットだが、決してガッチリ濃いような色ではなく、寧ろ上品でクリアな感じ。

土、シナモン、楠、西洋杉、腐葉土、というエレメント群がが先行し、その後続くのがカシス、ブラックベリー、ブラックチェリー、
シャンボールリキュール
Armagnac干し葡萄、スターアニス、
アニス、スミレ
更には数回ジュニパー(杜松の実)を微かに感じ取る場面も

最初は酸が強く感じたが、後に果実味が主体になって、旨味感も非常にしっかりしているが、まだ少し硬さと閉じ込められたニュアンスが見受けられた。それでも何かが突出している様な傾向は無く、押し付けがましさも感じられず、綺麗に纏っていて古き佳き時代のワインというラインが見える。これがギベール夫妻の思い描く世界なのだろうか?


ただ、余韻はmedium long to long という微妙な感じで、フィニッシュに掛けての盛り上がりも期待ほど大きくは無いが、もう少しだけ熟成を重ねさせると更に覚醒するかも知れないが…、そこは微妙かも知れない


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Montebuono vino da tavola 1993 Lino Maga

この生産者である Lino Maga(リノ・マーガ)といえば、Barbacarlo(バルバカルロ)というワインが今や有名。
当然の如く、ロンバルディア州を代表する銘醸の一つにもなっている。(註1
そもそも、この Barbacarlo を名乗れる畑は4haのみで、現在に至るまでマーガ家の単独所有。1981年までは Oltrepo Pavese Barbacarlo DOC(オルトレポ・パヴェゼ・バルバカルロDOC)だった。
しかし、Barbacarlo DOC 認定区域の拡大が画策される事態となり、これがマーガ家の逆鱗に触れてしまう。(周辺の生産者達がその名前だけでもお零れに預かろうとしたのは明らか)
結局はBarbacarlo DOC 自体も消滅する破目となり、Oltrepo Pavese DOC(オルトレポ・パヴェーゼDOC)に吸収されてしまった。

Montebuono(モンテブオノ)にとってはこの1993がデビューヴィンテージである。
現在、この生産者のワインはBarbacarlo、今回取り上げるMontebuono、そしてRonchetto(ロンケット)の3本柱で成り立っていて、畑も違うが葡萄の比率も違う
Barbacarlo=Croatina(クロアティナ)55%, Uva Rara(ウヴァ・ララ)20%, Ughetta(ウゲッタ)20%, Barbera(バルベラ)5%
Montebuono=Croatina55%, Uva Rara25%, Barbera20%
Ronchetto=Croatina50%, Uva Rara25%, Ughetta15%, Barbera1
0%

この時代のMontebuono はOltrepo Pavese D.O.C. の筈だが(「この時代」というのもミソ 註2)、これは何故か産地名称が外してあり、vino da tavola として出されている。
生産者サイドとしてはこの年のワインには納得がいかなかった様で、瓶詰はしたものの販売せず20年に渡ってセラー内で放置していたという情報もあるが、この Montebuono 1993 にはDOC の付いたボトルも存在し、何が如何なっているのか判らない。

mtbun93a色はやや薄めでくすんだガーネットを呈していて、23年以上を経てもその躯体はまだ全然しっかりしている。
このワインは微発砲とカテゴライズされている事も多いが、泡の形跡は殆ど無い。炭酸自体が元々微弱である上に熟成を経る内に消滅したと思われる。
最初は舌触りも甘く、葡萄ジュースみたいな感じもあるが、やがて酸が出てきて甘みは隠れてワインらしくなって行く
巨峰、ブルーベリー苺、クランベリー、スローベリー、李ミント
ラヴェンダーブラックベリーKirsch 漬けのGriottine
更には微かに焼きたてのデニッシュ、リコリス、古い時代のヴェルモットロッソ
フレイヴァーの傾向がやや偏っていて複雑さはあまり感じないが、想像以上のヴァイタリティには少々驚く

時間経過と共に酸が強くなり躯体は引き締まって、更にワインらしくなって行く。それに伴い出汁的な旨味感も感じられる様になる。なのにフレッシュ感はそこそこ残って若い感じがするという不思議さも著すが、収斂性は無い。
長熟感があるのに同時に若さを曝け出す、フィニッシュはややドライで淡いと思わせて、しっかり残ってそれなりに長い。

この一寸不思議な世界を自分の中で咀嚼し整理し、きっちり理解出来るようにならなければならないのは判っているのだが、まだ修行が足りぬというのか…

それでも、3500円程で買えたのだから御値打なのは間違いない。
ここのワインに関してだが、近年は収穫量の低下が続いている模様で、それもあって若いヴィンテージの価格は高騰、結果的には熟成を経た古い物との間で価格の逆転が起きている。それこそDOC が付いていた時代(註3)のワインを探して買うのが一番賢明かも知れない。


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註1)Milano(ミラノ)から南に約30km下ったPavia(パヴィア)を県都とするロンバルディア州パヴィア県のBroni(ブローニ)という街の直ぐ近くの丘陵地帯が産地である。
註2)(註3)リノ・マーガのワインは2003ヴィンテージ以降、DOC を外して IGT として販売されている。2003年のワインが残糖過多という理由でDOC 認定の審査に通らなかった事に憤慨したのが原因。




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Barbaresco Poderi di Gioaninet 1999 Vitivinicola Mainerdo

Barbaresco(バルバレスコ)は1966年4月にD.O.C. 認定を受け、1980年10月にD.O.C.G. に認定されているが、その指定エリアには3箇所のcomune(コムーネ )が存在する。その3つとはBarbaresco(バルバレスコ)、Neive(ネイヴェ)、Treiso(トゥレイゾ)である。

この Mainerdo(マイネルド)という生産者はその名の通り1920年、Giovanni Mainerdo(ジョヴァンニ・マイネルド)によって創設された蔵で、本拠のコムーネはネイヴェである。
因みに、このコムーネにはクラシック派で超名門のBruno Giacosa(ブルーノ・ジャコーザ)やモダンスタイルの権化みたいなLa Spinetta(ラ・スピネッタ)等も本拠を置いている。


mainrd99bbrsc01全体で約12haの畑を有してその内9haから2500ケース(30000本)のBarbaresco を生産する。そしてこれ以外にも自社畑と買い付け葡萄の両方を使用してワインを造り、カンティナ全体では6200ケース強の生産。
現在はGiovanni の甥であるRoberto Mainerdo(ロベルト・マイネルド)が運営している。


製法はクラシックスタイルなので熟成は大樽使用。但し、発酵はタンク使用の模様。

色はオレンジ掛かったガーネットで統一感がある、但しやや暗い。
なめし皮、リコリス、トリュフ、腐葉土セミドライトマト、野薔薇
プルーンブラックチェリーFraise des BoisミントAngostura
木炭、干し葡萄ラズベリー、といったニュアンスが出てくる。
酸・タンニン共にまだまだ強く酒質は総体的にまだ少し固い。それでも酸もタンニンもえぐみではなく力を感じさせ、その隙間から果実実と旨味がしっかり主張し始めて、十分な長さとフィニッシュにかけての不足のない盛り上がりを見せる様になる。そしてこの主張もまた綺麗でくどさや嫌味は無い。

更なる時間経過と共に、具合良く溶け込んでは行くが、まだまだ若さと固さが感じられる。ポテンシャルはあと数年後にならないとはっきりしないという事なのか?
結局のところ、現時点では判断が難しい。

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)イタリアに於ける自治体の最小単位=基礎自治体の事を指す





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Mazis Chambertin 1998 Domaine Maume

地味だが高い能力で定評のあるドメーヌからの作品を紹介したい。
今回取り上げる Domaine Maume(ドメーヌ・モーム)は Gevrey-Chambertin(ジュヴレ・シャンベルタン)の中でも古典派と位置付けられる作り手だった。この Mazis Chambertin(マジ・シャンベルタン)はそのフラッグシップとして、Maume が所有していた 0.6haの区画から産出されていた。

maumemazis98a先代のBernard Maume(ベルナール・モーム)が大学講師をする傍ら、大伯父から受け継いだこの小さな蔵(畑面積がトータルで4.5ha程)でワインを作っていた。1988年からは息子の一人であるBertrand(ベルトラン)が参加する様になるが、それでも相変わらず職人気質な極めて古典的な手法でワインを作っていた。
しかしベルトラン・モームは何せ7人兄妹という訳で、このドメーヌにも相続絡みでのややこしい問題が発生。結局は2012年に売却されてしまった。(註1
ただ尤も、ブルゴーニュやローヌ等の中小規模生産者が多い所では、たとえ秀逸なドメーヌであっても相続がネックになって閉鎖や売却を強いられるケースは多い。
売却後の新しい経営体制の下ではlutte raisonnée(リュット・レゾネ 註2)を導入する等の路線変更も進んでいる様である。
この1998年のワインは言うまでも無く、父と息子で作っていた時代の物である。


先ず色についてだが、クリアだがやや暗めのガーネットで均一。
クラシックなブルゴーニュの醍醐味を見せてくれるかとの期待もこの時点では高まる。
リコリス、枯葉苺、ラズベリー、Fraise des bois、クランベリー、赤スグリリエージュシロップ黒文字、丁子、シナモン、ビターチョコ、Frenet 系リキュール焼きたてのバゲット、カラメルデーツブルーベリー、といった辺りのエレメントが拾い出せる。

ところが、香味がそこからなかなか広がらない上にタンニンがやや突出気味。酸にキレと迫力が今一つでフラットな出方をするので、少々間延びして感じる。
1998VT のブルゴーニュにはありがちな傾向ではあるが、ボディそのものが茹で小豆的なのか?

それでもかなりの時間を経て漸く、上質な出汁の様な溶け込み感が感じられるようになって、各要素も綺麗なマッチングをみせて、そして梅酒の様なタッチが出て来る。アフターもそれなりに長い。
しかし、総体的には「微妙にして大事な一押し」という所が僅かずつ欠けている様に思えた。グランクリュのクオリティとしては少々物足りなかったか?

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註1)買収者はカナダ出身のPascal Marchand(パスカル・マルシャン)
ブルゴーニュでも幾つもの有名ドメーヌで指揮を執った世界的に有名な醸造家の一人。
註2)2004年、フランスで正式に導入された減農薬農法で、英語訳するとsustainable になる。必要があるとされた時にのみ、制限内での農薬使用が認められるが、103項目の指示書による規定に添わなければならない。




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The Dead Arm 2001 d'Arenberg

旧ブログ時代を通じても、オーストラリアのワインを取り上げるのは初めてと思う。
このThe Dead Arm(ザ・デッド・アーム)というワイン、オーストラリアのShiraz(シラーズ 註1)の中でも大スターとなっている。そして今でも5000円台で買える。小生がこれを購入したのは10年以上前だが、現在も価格が大きく変った訳でもなさそうだ。
現行は2013年VTだが、5000円台で買う事も可能だ。つまりオーストラリアワインの最高峰とされるPenfold's Grange(ペンフォールズ・グランジ)の1/10程度、Henschke Hill of Grace(ヘンシュケ・ヒル・オヴ・グレイス)の1/13程度という事にもなる。(尤も、この2つは基地外価格だが…


The Dead Arm という名だが、コルドン・ドゥーブル(cordon double)仕立て(註2)の葡萄の古木が細菌感染を起し、片方の大枝が壊死したので、その枝を切り落とし片方の枝だけで育てた葡萄が素晴らしい出来を示したので、その区画をDead Arm と名付けた事に由来する。
deadarm2k1aこれを作り出す d’Arenberg(ダレンベルグ)はMacLaren Vale(マクラーレン・ヴェイル 註3)を代表するワイナリーであり、Shiraz(シラーズ)、Grenache(グルナッシュ)、Rousanne(ルーサンヌ)等々の南仏系の品種を得意にしている。全ての葡萄を木製桶形のバスケットプレスでゆっくり圧搾しているのでも有名 。


この作り手の歴史は1912年にJoseph Osborne(ジョセフ・オズボーン)氏がワイナリーを購入した事から始まる。
現当主は4代目のChester Osborne(チェスター・オズボーン・55歳)氏だが、1995年にワイナリーを引き継ぐとセラーを始めとした設備を改良、生産管理もそれまで以上に徹底する様になる。この事が功を奏してその後ワイナリーが世界的名声を手にするのに時間は掛らなかった。
今やMacLaren Vale だけで72ha、それ以外のエリアにも自社畑を持つ老舗名門ワイナリーとなっていて、リリースするワインもデイリーから高級品まで多岐に渡る。


先ずは色だが…、
ルビーパープルとガーネットの中間で、インキーとか言うレベルでない位に濃い!
夥しいレベルのブラックベリー、カシス、ブラックチェリー、プルーンにいきなり出迎えられる。
そこからメンソールなめし皮、黒胡椒、ナツメグ、土、西洋杉、楠、古い箪笥、万年筆のインク、ヴァニラといった要素が出てくる。
しかし、実は各種のサブ的な要素群は拾い出し難かった。それは一連の黒果実系の要素が強過ぎたのであった。
タンニンも酸もかなりしっかりしているのだが、果実味の押しが少々剛直すぎるきらいがある。酸自体にに本当の力があるのかも少々疑問があり、妙に尖った所を見せて少々浮いてきて品位には少々欠けるきらいがある。
総体的にみれば、確実に熟成をしてきた事は理解出来る、アフターもそれなりに長く不足はない。でも結局Shiraz クオリティでしかないと思わせる部分が透けて見える。しかも時折緩んだ時にくどさを見せるが、この部分も結構きつかったりする。
何やらかんやら言うた所で、グランジの1/10の価格って所詮こんなモンかいな?


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註1)Shiraz はSyrah のシノニム(別名)の一つだが、オーストラリアや南アフリカ等では殆どこの別名で呼ばれる。
註2)葡萄樹の剪定方式の一つで、幹の上から大枝を水平に伸ばし、そこから結果主枝を出すのがコルドン式。大枝が2本あるのがCordon Double、1本の場合はCordon Simple(コルドン・サンプル)この場合の大枝の事をフランス語では腕を表す bras(ブラ)という。
註3)オーストラリアでも最古のワイン産地の一つで、アデレイド(Adelaide)から南に35km程行った所にある




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