嘗ては「モルトのロールスロイス」と称されていたマッカラン(The Macallan)、今となっては「スッカラカン」「モルトの原付」とも言われて随分叩かれている。そうはいってもボトラーズ物の相場は他の蒸留所の酒と比べると最低でも5割増以上と、ネームバリューだけで思いっ切りぼったくれるすんご~い存在である。
そんなマッカランの蒸留所が建替えられて新しい蒸留所が稼動している(それまでの蒸留所は5月に閉鎖)。マッカランの新蒸留所建設を含めたリニューアル計画がアナウンスされたのは2012年の事で、発表から6年で新蒸留所のオープンに漕ぎ付けた事になる。
ただその画像を見るとウィスキーの蒸留所とは到底思えない物になってしまった様である。どう見ても古墳か要塞にしか見えない出で立ちである。
建物は地上から殆ど見えず、ドームみたいな丘の中に隠されている。コンクリートで造られたその丘は土と草で覆われ、蒸留所の僅かな部分だけが露頭している。新しい蒸留所本体の建設費は約1億4000万ポンド=凡そ200億円だが、これに関連する各種の事業費を合計すると総額は約5億ポンドに達するらしい
何でそんな新手の古墳みたいにしたのかというのを小生なりに考えてみると、外気温に左右され難い、外から覗かれない、あとは核シェルター代わりにもなる
そういった事は半ば冗談としても、一種のハッタリみたいなアピールもブランド力向上には必要だというエドリントン(Edlington group=マッカランの支配者)側の判断が働いたのだろう。
( こちらを閲覧すると新しい蒸留所の外観が判り易い )
そしてもう一つ特筆すべきはその規模のデカさである。ウォッシュスティルが12基、スピリッツスティルが24基の合計36基を備え(註)、スティルは旧蒸留所の物を完コピしたとされる。(旧蒸留所ではウォッシュが 7基+スピリッツが 14基、合計 21基だった)
蒸留所側はこれまでと全く同じ酒を作れると豪語しているが、蒸留器を完コピしたからといって同じ酒質になるとは思えない。スティルの状態は使って行くうちに変化して行くものであるから、「ルーキー」と「ヴェテラン」で出て来るスピリッツの質が完全に一緒という訳には行かないであろう。
目標の生産量は年間1500万リットル(エタノール量で)、これはモルトウィスキーの蒸留所としてはあり得ない数値である。(旧来では1100万リットル)
スコッチモルトの蒸留所では Macallan、Glenlivet(グレンリヴェット)、Glenfiddich(グレンフィディック)の3箇所が生産規模で群を抜いている。この3大手がシングルモルトとしての売り上げ・生産量の#1を常に目指して争っているが、そこに見えるのは「売上1位になった物が勝者=唯一の正義」という論理である。
ウィスキー界では新興国を中心にした需要の増大は殆ど無限に続くとの確信がある様で、大手を中心に強気一辺倒の事業展開である。
スコッチウィスキーのトップに長い時代に渡って君臨して来た Macallan である。当然色々とレジェンダリーなウルトラ級の神ボトルが存在するのも事実である
ここに挙げたのは、2008年の「モダンモルトウイスキーマーケット」の会場内に展示されていた Fine and Rare (ファイン・アンド・レア)シリーズで、展示されていたのは2002年瓶詰の奴だった。
この Fine and Rare はこの蒸留所最高峰のシリーズ。1960年代から続く由緒ある物で、シングルカスク・カスクストレンクスである。マッカランは今世紀に入ってから一寸平べったいヘンチクリンなボトルに採用してしまったが、このシリーズは昔ながらのボトルを採用し続けている所も威厳を感じさせる。
価格の相場だが、これを撮影した2008年の時点で 6桁(¥)だったと記憶している。2013年に出された1990年はアメリカで$15000位だったらしいが、僅か数年で1桁上がってしまったみたいでこれは幾ら何でも馬鹿馬鹿し杉内である。
今やマッカランのレアボトルは恐ろしい値が付き捲っていて、高級外車(新車)並みの値が付くのも珍しくない。
左=1966-2002 の 55.5% 右=1967- 2002 の 56.3%
1966・67年は何れもマッカランのウルトラ黄金期、超絶なスーパースター原酒が生まれた時代。マッカラン=ゴールデンプロミス種というイメージが強いが、この時期は本格導入直前と考えられる。
やや赤みを帯びた丁度良い感じのマホガニーを見るだけで、マッカラン=1st フィルのシェリー樽というイメージ通りでその美しさと重厚なオーラにウットリである。
左=1968-2002 の 46.6% 右=1969-2002 の 59.0%
ここからがゴールデンプロミス本格導入後の原酒と考えられる。色から見ると、1st ではなく2nd フィルのシェリー樽だったのかも知れない。
左=1970-2002 の 54.9% 右=1971-2002 の 55.9%
この2本はゴールデンプロミス種+1st フィルシェリーカスクというこの蒸留所を象徴するコンビネーションなのは間違いなく、ウィスキー界の至宝であるのは明らか。
(註)初留釜(ウォッシュスティル)と再留釜は 1基ずつで対を成す所が殆どだが、マッカランは初留 1基に対して再留 2基で対を成す。
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そんなマッカランの蒸留所が建替えられて新しい蒸留所が稼動している(それまでの蒸留所は5月に閉鎖)。マッカランの新蒸留所建設を含めたリニューアル計画がアナウンスされたのは2012年の事で、発表から6年で新蒸留所のオープンに漕ぎ付けた事になる。
ただその画像を見るとウィスキーの蒸留所とは到底思えない物になってしまった様である。どう見ても古墳か要塞にしか見えない出で立ちである。
建物は地上から殆ど見えず、ドームみたいな丘の中に隠されている。コンクリートで造られたその丘は土と草で覆われ、蒸留所の僅かな部分だけが露頭している。新しい蒸留所本体の建設費は約1億4000万ポンド=凡そ200億円だが、これに関連する各種の事業費を合計すると総額は約5億ポンドに達するらしい
何でそんな新手の古墳みたいにしたのかというのを小生なりに考えてみると、外気温に左右され難い、外から覗かれない、あとは核シェルター代わりにもなる
そういった事は半ば冗談としても、一種のハッタリみたいなアピールもブランド力向上には必要だというエドリントン(Edlington group=マッカランの支配者)側の判断が働いたのだろう。
( こちらを閲覧すると新しい蒸留所の外観が判り易い )
そしてもう一つ特筆すべきはその規模のデカさである。ウォッシュスティルが12基、スピリッツスティルが24基の合計36基を備え(註)、スティルは旧蒸留所の物を完コピしたとされる。(旧蒸留所ではウォッシュが 7基+スピリッツが 14基、合計 21基だった)
蒸留所側はこれまでと全く同じ酒を作れると豪語しているが、蒸留器を完コピしたからといって同じ酒質になるとは思えない。スティルの状態は使って行くうちに変化して行くものであるから、「ルーキー」と「ヴェテラン」で出て来るスピリッツの質が完全に一緒という訳には行かないであろう。
目標の生産量は年間1500万リットル(エタノール量で)、これはモルトウィスキーの蒸留所としてはあり得ない数値である。(旧来では1100万リットル)
スコッチモルトの蒸留所では Macallan、Glenlivet(グレンリヴェット)、Glenfiddich(グレンフィディック)の3箇所が生産規模で群を抜いている。この3大手がシングルモルトとしての売り上げ・生産量の#1を常に目指して争っているが、そこに見えるのは「売上1位になった物が勝者=唯一の正義」という論理である。
ウィスキー界では新興国を中心にした需要の増大は殆ど無限に続くとの確信がある様で、大手を中心に強気一辺倒の事業展開である。
スコッチウィスキーのトップに長い時代に渡って君臨して来た Macallan である。当然色々とレジェンダリーなウルトラ級の神ボトルが存在するのも事実である
ここに挙げたのは、2008年の「モダンモルトウイスキーマーケット」の会場内に展示されていた Fine and Rare (ファイン・アンド・レア)シリーズで、展示されていたのは2002年瓶詰の奴だった。
この Fine and Rare はこの蒸留所最高峰のシリーズ。1960年代から続く由緒ある物で、シングルカスク・カスクストレンクスである。マッカランは今世紀に入ってから一寸平べったいヘンチクリンなボトルに採用してしまったが、このシリーズは昔ながらのボトルを採用し続けている所も威厳を感じさせる。
価格の相場だが、これを撮影した2008年の時点で 6桁(¥)だったと記憶している。2013年に出された1990年はアメリカで$15000位だったらしいが、僅か数年で1桁上がってしまったみたいでこれは幾ら何でも馬鹿馬鹿し杉内である。
今やマッカランのレアボトルは恐ろしい値が付き捲っていて、高級外車(新車)並みの値が付くのも珍しくない。
左=1966-2002 の 55.5% 右=1967- 2002 の 56.3%
1966・67年は何れもマッカランのウルトラ黄金期、超絶なスーパースター原酒が生まれた時代。マッカラン=ゴールデンプロミス種というイメージが強いが、この時期は本格導入直前と考えられる。
やや赤みを帯びた丁度良い感じのマホガニーを見るだけで、マッカラン=1st フィルのシェリー樽というイメージ通りでその美しさと重厚なオーラにウットリである。
左=1968-2002 の 46.6% 右=1969-2002 の 59.0%
ここからがゴールデンプロミス本格導入後の原酒と考えられる。色から見ると、1st ではなく2nd フィルのシェリー樽だったのかも知れない。
左=1970-2002 の 54.9% 右=1971-2002 の 55.9%
この2本はゴールデンプロミス種+1st フィルシェリーカスクというこの蒸留所を象徴するコンビネーションなのは間違いなく、ウィスキー界の至宝であるのは明らか。
(註)初留釜(ウォッシュスティル)と再留釜は 1基ずつで対を成す所が殆どだが、マッカランは初留 1基に対して再留 2基で対を成す。
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