Dufftown 街角ミュージック

穏健リベラルの波とマイナーパワーがこの世を救う

2016年9月、FC2 から移転。
Blairfindy1号2号から大文字左京(だいもんじ・さきょう)に改名しリスタート
旧名義の画像が混在しているのは御了承願いたい

記事並び画像の無断使用転載はこれを固く禁ず!
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whisky

2 Irish Malt Whiskeys ~アイリッシュ、本当はどうなんだ~

前記事でアイルランドの事にも触れたので、最近味わったアイリッシュ・ウィスキーのネタを行ってみたい。
ここ2~3年の間にアイリッシュ・ウィスキーが持て囃される様になったという話は以前にうp したが、小生としては実の所、そこにやや懐疑的な部分もあった。
最近でも25年クラスのモルトウィスキーが3万オーヴァーの価格帯で売られていて、それも結構売れた時期もあった。そういうボトルに対しての評価も一応に高いが、その中では「南国フルーツ」だの「非常にフルーティー」といった一寸聞き飽きた様な言葉が踊る。
この様な背景の下で小生は、アイリッシュのモルトから90年代初頭蒸留・20年オーヴァーの高額品と、近年デビューした蒸留所のショートエイジの物、2本の対照的なボトルを立て続けにある程度じっくりテイスティングする事が出来た。


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先ずは左画像のボトルから、
Teeling Vintage Reserve 1991 21yo 57.1% bottled for Bar Main Malt and Bar Campbelltoun Loch


今や3万越えどころか4万近くまで相場が上がっているTeeling Vintage Reserve のモルトウィスキーだが、これは2013年のボトリングなので、現在よりは価格も安かったと思われ、当時の実勢価格を推測すると18000円位だったのだろうか?
因みに、この時sa-4、sa-5 という2つの樽がそれぞれボトリングされたが、こちらはsa-4 の方である。
色はゴールド
少々のスモーキー感と土っぽさから始まり、夏の川原の様なやや蒸れた様なニュアンスのある蒼い草叢の感じ、オイリーさとエステルが顔を覗かせる。その後はカスタードクリーム、ヴァニラ、蜂蜜煎りたてのカカオBénédictine という辺りが出てくる。そして、期待通りの展開が…
パパイヤパッションフルーツグアヴァライチパインという南国フルーツが一気に出てくる、が、そこからの展開が今一つパッとしない
パッションライチパインという要素が突出して支配的になり何処か単調になってしまって、そこから中々脱出出来ずに他のエレメントが拾い出せなくなる。バーテンダー氏と話をすると、この手のアイリッシュに共通した傾向らしい。
それから時間が経って漸く黄桃加熱した洋梨、更には微かにマスカットグレープフルーツシナモンという所が拾い出せた。
味の長さという部分は一応十分なのだが、アフターに掛けての迫力が思った程ではなかったか。


酒としてのレベルは高いというのは確かだが、実際味わうと残念な部分も目立つ(T_T)
スコッチのモルトと比べると何処か垢抜けず、大きく展開出来ずやや単調になりがちというが現実なのだろうか? スコッチに水を開けられている様に見える。


スコットランドとアイルランド、気候風土は少し違うが、それだけでそんなに差が出るのだろうか?
やはりアイルランドの近現代の歩み、そしてアイリッシュウィスキーの苦難の歴史にそのキーがあるのではないか?
イギリスからの圧政に始まり、独立戦争、内戦、北アイルランド問題…、そういう中で経済の低迷が幾十年も続いた20世紀、その中でウィスキー産業も低迷と縮小を余儀なくされた時代が長かった。1920年代から減速が始まり、第2次世界大戦後アイルランドが完全独立を果たしても、上昇する事は無く低迷から抜け出すのは結局1990年代末まで待たなければならなかった。


これに対し1940年代からウィスキーの代名詞的存在として世界中に幅を利かせたスコッチにおいては、色々な改良や技術革新を積み重ねて1960年代終盤から70年代前半位に一つのピークを迎えた。その後1980年代の暗黒時代を経ても、その方向性と内容の是非は別として色々な意味での進歩を続けて今の隆盛がある。

60・70年代のアイリッシュにだって素晴らしいボトルは勿論あったが、総体的にはその進歩のペースは遅々としたものにならざるを得なかったのではないかと考えられる。そういう所からアイリッシュとスコッチで格差が生じたとしてもおかしくない。




右画像=WEST CORK Irish single malt whiskey 10yo single cask 57.3%
新進気鋭のWest Cork(ウェスト・コーク)蒸留所から遂に出されたシングルカスクで度数調整も無し。この蒸留所はDenis MacArthy・Ger MacArthy・John O'Connell の3人によって2003年にスタートした小規模な所謂クラフト・ディスティラリである。(実はKilbeggan=キルベガン蒸留所の再スタートより早かった事になる)
アイルランド南部の主要都市 Cork(コーク)から南西に80km位行った所で同島でも南の端というべき所にあるらしく、ウィスキーと平行してジン・ウォッカ・ポティンも作っている。


結論から言うと大した事ない。フルーティーさはあまり感じられないが、その反面シリアル系のフレーヴァー及びカラメル、柑橘、カスタード等の風味が目立つ。まだ荒削り感が強いが、実勢価格が3500~4000円程度という事を鑑みれば、それなりに妥協の出来る物なのであろう。

前にも述べた通り、今世紀に入ってアイルランドでも新進気鋭のウィスキー蒸留所が続々誕生しているが、ウェストコークもその一つ。失われた年月を取り戻すべく反転攻勢に出たアイリッシュ、その新時代の旗手に名乗りを挙げんと奮闘するこの蒸留所の歩みのマイルストーンとしては意義のあるボトルだと考えるべきなのであろう。
将来、15・20・25年等という中~長熟のボトルが出てくれば、どんな物になるかというのは興味深いというだけでなく、それらも新たに重要なマイルストーンとなって行くであろう。アイリッシュがウィスキーの元祖として復権して行くにはまだまだ歳月を要するのは間違いないが、スコッチがかなりチャラくなってきている今だからこそ十分に勝機はある。




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Miltonduff 1995-2016 21yo 55% The Whisky Find 威士忌坊

近年、「ボトラー」といわれる独立瓶詰業者が雨後の筍の如く出現しているが、この現象は欧米に留まらずアジアでも起きている様である。

先月中旬に三重方面に遠征したその帰り、名駅エリアのバーに立ち寄った。その際に頂いたのが、小生も始めて目にする台湾の新進ボトラーからのこの1本。
そのボトラーの名は、The Whisky Find 威士忌坊


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その台湾ボトラーからのファーストリリースに当たる「山海経」
(The Classic Mountain and Seas)シリーズ中の1本がこの
Miltonduff (ミルトンダフ)1995-2016・55%
このボトルには女媧補天という名がついている

色はやや明るめのゴールド
先ずはグラッパを想起させるグラッシーなフレーヴァー
その後開いてきて、ライチパイナップルという一寸弱めの?トロピカルフルーツ。
続いては杏仁、ココナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、松の実
マカダミアナッツ
更に杏、李、花梨、ミラベル、という黄色系が出て来て、ラズベリー、赤スグリという赤系が時折顔を覗かせる。
 
一寸した収斂性と刺激感も感じさせる場面もそれなりにあったが、この酒自体のボディは結構大きめでタイトな感じは無い様に思われる。アフターの長さも申し分ないというレベルは確保している様に思える。
総体的に考えればスペイサイドらしいシェイプは比較的明瞭に出ていた印象で、かなり良く出来たスペイの佳酒と言って差し支えない。
ショットの価格から、ボトルの市場販売価格は18000円程度と考えられるが、残念ながらそこまで物とは思えない。

仮に、Les Meilleurs Vins de France 的な感じで点を付けるなら… 17.5 / 20

因みに、これどほぼ同時にリリースされた物としては、
Bunnahabhain 1990=「爽」、Glen Garioch 1994 55.1%=「后羿射日」、Glen Moray 1996 54%=「百草」、
Caol Ila 1997 40%、Cameronbridge 1995=「杜甫」というのがある様である。

ウィスキー業界内では、アジア市場のプレゼンスが拡大しているのは言うまでもないが、昔から香港やシンガポールの市場はアジアでも重要視されたと思われる。その次に日本が台頭し、近年では何と言っても中国やインドである。そんな中でも実はなかなかの存在感を見せるのが台湾のマーケットである。

伝統と実績のある欧米の老舗ボトラーでないと原酒を買うのが難しいという現状や、シングルモルトの場合は瓶詰までスコットランドで行わなければならない事もあって、アジア地域で新進のボトラーが出てくるのは極めて困難かも知れない。アジアの希少なボトラーとしてこの、The Whisky Find 威士忌坊が何処まで頑張れるか見物である。



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序の様だが、時間と金銭的な理由で頂けなかったボトルの画像も紹介したい。


このシンプルながらクラシックで雰囲気のあるラベルが小生の心を捉えかけたので、早速バーテンダーさんに質問したところ、
何と、Ardbeg (アードベッグ)のプライベートボトリングで、
1997年蒸留の18年熟成だという事だった
この時点で既にカクテル2杯を頂いていた小生としては、最後の1杯は上述のMiltonduff とこのArdbeg との二者択一という事になった。


小生としてもこれは嬉しい大チャンスと思ったが、ショットの値段はというと、Miltonduff の約1.5倍に当たる4000円との事で、躊躇してしまった。
こちらを選択した場合、折角のショットをゆっくり十分味わいたい所だが、帰京する夜行バスの時間も考えると少々難しいかも知れないと思い、Miltonduff を選択してしまったのである。

今時18年クラスのArdbeg なんてお眼に掛かれるチャンス自体少なく、1ショット4000円でというのも難しいと考えると、こちらを選択すべきだったと言う後悔が1ヶ月以上経った今でも残る



ラベルの中央の文字を見ると察しは付くが、日本国内のバー3軒と酒販業者1社の共同でボトリングされた物と判る。以前はこの画像をSNS 等にうpする事もNG だった(既に解禁されている)程の極秘ボトルだったのである。

ボトリング数が88本と非常に少ないが、話を聞けば、有名ボトラーのCadenhead がショップで樽からの量り売りしていたものの、途中で酒自体がピークに達してしまったと判断されたので、その時点で残っていた酒がこういう形でボトリングされたという事だった。



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凄いんですよ? アイリッシュウィスキー Part 2

日本のみならず世界の彼方此方でブームになっていると思われるアイリッシュウィスキーだが、アイリッシュにはモルト、グレイン、ブレンディド、そして(シングル)ポットスティルウィスキー(以前はピュアポットウィスキーの名称)の4種がある。
ポットスティルウィスキーはアイリッシュ独特の物で、大麦麦芽と大麦(未発芽)の両方、更にはオーツ麦等(これも未発芽)を加えて、それをマッシング・ウォッシングを経てポットスティルで2回又は3回蒸留するのでモルトとグレインの中間的な作り方と言えるかも知れない。
そんなスコッチにはない特徴を持った酒もアイリッシュには存在する。

前記事で述べた様に、嘗て2ヶ所にまで減った蒸留所も34箇所まで増えたが、新しく出来た蒸留所も、スコットランド同様に資金繰りに色々な工夫を必要としているのは想像に難くない。ウィスキーと平行してその他の製品を製造販売しているケースも多い。その代表例が、ウィスキーになる前のスピリッツで、POTIN(ポーティン)と呼ばれるスピリッツも注目を浴びている。
2011年にCooley(クーリー)蒸留所がサントリー・ビーム(Suntory-Beam)に買収されると、同蒸留所からの外部への原酒供給が廃止されてしまった。原酒をここからの供給に依存していたメーカー(ブランド)はピンチに陥り、自前の蒸留所を作らざるを得ない所が出てしまった。これも蒸留所増加の大きな原因である。

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左右ともにTeeling のボトルから
左=Teeling Vintage Reserve 24yo 46.4%=single malt Irish whiskey
右=Teeling Irish whiskey 2001-14yo Sheery cask 58% Whisky Magazine editor's selection


The Teeling Whiskey Company(ティーリング・ウィスキー・カンパニー)というボトラーは近年、左の画像にある様な25~30年クラスの長熟シングルモルト等をリリースしている。
それが同年代のスコッチモルトより評価において上回る物も多いという事となると、アイリッシュの実力は世に知れ渡り、最近のアイリッシュ人気爆発に繋がったとも言える。

先日も某酒販店で、このTeeling vintage reserve のシリーズ(25000円前後)が並んでいる所を指して、「これ位のレベルの酒をスコッチで探したら、これより全然高くなりますよ」と言う言葉を耳にした。(4万位にはなるという事か)
今まで人気が無かった分結果的に凄い樽が上手く残ったのではないかとも思った、そして同時に清水の舞台から飛び降りたつもりで手を出してみようかと気持ちが動きかけたものの、決してワイズスペンディングにはならないと思い留まった小生だった。

Teeling の親子(John、Jack、Stephen)がアイリッシュの牽引役としての役割も担っているが、親父=Johnは1987年にCooley 蒸留所を立ち上げた人物でもある。
この一家はクーリーを売却した金でダブリン市内のビール工場を買収し蒸留所に作り変えた。これがTeeling 蒸留所であり、モルトやポットに先行する形でグレインの原酒から蒸留を開始している。この背景にはクーリーからの原酒供給の廃止決定があると思われる。
ダブリンにはこの他に計画中の蒸留所が3ヶ所ある様で、全部稼動すれば4ヶ所。嘗ての「ビッグ4」には到底及ばないが、アイリッシュ中興、ウィスキーの都ダブリン復活の大きなアイコンと成るかも知れない。
嘗ての「ビッグ4」の一角だったMarrowbone Lane(マローボウン・レイン)を作ったのが誰あろう、この親子の先祖であるWalter Teeling(ウォルター・ティーリング)だった。それから200年を経た今、その子孫達がダブリンに於けるウィスキーの伝統的スタイルを復活させると息巻いているのである。(


長い間下火になっていたアイリッシュも90年代終盤から増産に転じたものと思われるが、その頃から作りも変ってしまっているのかも知れない。となると、最近の人気に火を付けた超傑作品はこの先もう手に入らなくなる可能性が高い。
何せ、最近のウィスキーは効率よくアルコールを採り、在庫の回転も速くする事に腐心し過ぎているとしか思えない部分がある。

アイリッシュの回復に対して、ダイヴァシティ(diversity)的な部分では喜んでも良いのであろうが、その一方でこんな事が続くのだろうかと懐疑的にもなる。
最近のマーケットを見ていると、ネタを見つけてバカ騒ぎして消費し尽くしたら、ばった屋みたいに又何処かに飛び移るというのを繰り返す様な気がしてならない。


アメリカでもバーボンは戦後長い間日陰の存在だった、日本がバブルの頃バーボンが持て囃されたものだが、行き場の見付からない酒が無理矢理日本に売り付けられたという背景もあったのである。
アイリッシュはウィスキーの元祖としての底力を取り戻し、バーボンを含めたアメリカ系ウィスキーと共にスコッチにどれだけ対抗出来るかという所は小生としても見物である。

Teeling が凄いのか、はたまたアイリッシュの潜在させる力が凄いのか?その答えが判るのにはこの先数年は掛かりそうである。何せ相手は酒という本来ロングスパンな時間と忍耐を強いる代物なのであるから。


)Thomas Street、Marrowbone Lane、Bow Street、John's Lane の4蒸留所がダブリンのビッグ4と呼ばれていたが、1920年代までに前者の2箇所が消え、1970年代には後者の2つも消えている。


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凄いんですよ? アイリッシュウィスキー Part 1

ここ2~3年程、Irish Whiskey(アイリッシュウィスキー)の話題が色々出て来る様になった。その人気アップはかなりのもので、ここ数年はアメリカでの消費量もスコッチに対して逆転している。

「アイリッシュなんて糞」とどこかで思っていた御仁も多かろう。5年前なんて殆ど話題にならなかった訳で、スコッチの原酒の需給逼迫、価格高騰とレベルダウンで、他のネタを探している内に潜伏していた様なアイリッシュが陽の目を見たというのは穿ち過ぎだろうか?
日本でも高級品も出せば、それこそ2万円超えのボトルでもあっという間に完売したりする。アイリッシュにこんな金出す奴おるんか?と訝しんだものだが、長熟アイリッシュにはトロピカルフレーバーが顕著な物も多く、そこが人気の一端を形成しているのかも知れない。(ウィスキーにトロピカルフルーティーをやたら求める連中が多いと言うのが小生には解せないが)

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アイリッシュウィスキーはウィスキーの元祖みたいな存在であり、それこそウィスキーの代名詞だった時代も長かった。しかしながら20世紀以降は虐げられた歴史を歩んで来たとも言える。

先ず1920~30年代に掛けてアメリカで禁酒法が施行されると、そこで最大のマーケットを失う形となった。同時にアイルランド内戦も勃発して経済も疲弊、更に独立の報復として同国のウィスキーはイングランド等から締め出されて、蒸留所は一気に減少。
第2次世界大戦中はアイルランドは中立だったため、米軍が駐留する事もなく、当時国内供給を優先したので輸出も殆どされず、その結果スコッチウィスキーにドンドン押されまくって陽の目を見るチャンスが殆どない状態になってしまった。80年代に入ってはハードリカー市場の世界的不振の煽りも当然の様に食ってしまい、踏んだり蹴ったりという状態が続いていた。


嘗ては首都ダブリンの街中でさえ蒸留所があったのに、蒸留所の統廃合や閉鎖が相次ぎ、1980年代初頭にはMiddleton(ミドルトン)並びBushmills(ブッシュミルズ)の2つだけと言う超お寒い状況にまでなった。そこにCooley(クーリー=1987年創業)、Kilbeggan(キルベガン=2007年復活)が加わったもの、つい数年前までたった4ヶ所だけだったのである。

(画像はBushmill's malt 10yo 1liter、43度時代の物 恐らくは90年代のボトル)

そこからここ数年での盛り返しは結構なもので、今日は建設中の物も含めて34ヶ所に増えてきている。これは19世紀終盤の28より多いという事になる。
この辺りのファクターを見ると、最近のアイリッシュの盛り返し方は信じられないとすら思う小生である。


最近の人気沸騰の立役者の一人が、Teeling(ティーリング)というボトラーであるといえる。ここから出されたヴィンテージ物のウィスキーは評判になるが、アイリッシュ如きでこの値段かよと思うほど高価な物が多い。25年クラスでも3万近くになる物すらある。
ウィスキーの相場がこれだけ高騰しているというのもあるが、殊にアイリッシュの場合は上述した様な歩みで、90年代半ばまでは生産量も非常に低かった筈である。よって20年クラスの原酒の残存数も極めて少ないのは目に見えていて、スコッチより更に高価になり易いと考えられる。



今日はこんな所で…、Part 2 へと続く!


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Arran(アラン)遂にいちびって? 増殖!

arr2000sms537a去年創業20年を迎えたArran(アラン=Isle of Arran)蒸留所だが、小生もここ1年で限定ボトリングの物を数本購入している。
スコッチウィスキー全体としてはここ10年ほど見せた勢いに翳りが出始めた感もある、その中にありながらArran はその勢いをまだ加速させそうある。ここの酒は近年あまり外さない、レベルも信頼性も上がってきている。酒自体それなりに丁寧に作っているというのは良く判る
本当に初期の酒は随分卦体(けったい)に感じたものだが、近年出たボトル達は方向性も定まってしっかりして安定感もある。よくぞここまで上がってきたと賞賛に値する。
今スコッチモルトの蒸留所の中で一番ノッているのはこのArran ではないかとすら思えるのである。


大手資本傘下にある他の大多数の蒸留所だと、ブレンディドウィスキー用の原酒を大量に生産する事をある程度優先しなければならないが、この蒸留所はインディペンデントなのでそれがない。この部分がかなり幸いしているように見える

Arran という蒸留所、1994年12月にHarold Currey(ハロルド・カリー)氏の下で、同島北部ののLochranza(ロッホランザ)にて建設開始、翌95年8月から操業開始。
カリー氏はChivas Bros. (シーヴァス・ブラザーズ)の出身で自身の夢を叶えようと独立。

80年代はどん底にあったスコッチウィスキーの業界も、90年代半ばになると少しずつ立ち直りの兆しを見せて、休止中の蒸留所が幾つか再稼動していたものの、活況とまでは言えない時期だった。


あまり注目されなかったアランの島だが、敢えてそこを選んだのは、アイデンティティを明確にしてインパクトを出すのと同時に、雨の日でも観光出来る場所を作って資金繰りの足しにするという計算もあったらしい。かくして1995年夏、同島で約160年振りとなるウィスキー製造が始まったのである。

カリー氏は今年3月に死去したが、今年の秋から1対2基の新たなスティルを増設すべく工事に入った。これで、蒸留は1対2基から2対4基の体制となり、年産120万リッター(アルコールベースで)まで生産が可能になるのである。
この蒸留所の強気は続き、同じ島の南側のLagg(ラグ)に新たな蒸留所も建設中で、2年後のオープンを目指しているのである。
1995年にデビューしてから数年(1998~2000頃)、試行錯誤も経てその間にスティルも初期の状態を終えてそこから酒質が安定し向上した様に見える。
ただそこからスティル増設、第2蒸留所開業となれば、これを機に酒質も又変わる可能性がある。


世界経済が停滞気味の基調にある中、この事が吉と出るか凶となるかは判らない。基礎的な需要は以前に比べて確実に大きくなってはいるので、然程悲観すべきものではないかも知れない。
世界中で雨後の筍の様に登場してきているクラフト・ディスティラリーにとって、このArran は良き手本にして目標となる存在になりつつあるのは間違いない。
今回の増殖がしくじりにならない様に願いたい所である。
(画像はスコッチモルト販売向け限定ボトル2000-2016 16yo Sherry cask 53.7%)




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