モルトウィスキーグレインウィスキーだが、スコッチだけでも生産量で比較すると全然桁が違う。 モルトの蒸留所は近年数を再び増やしてスコットランドだけで100近い数になっている。その中では年産数十万リットル(アルコールベースで)という小規模な所が数多く存在する上に、最大生産量を誇るGlenfiddich でさえ年産1000万リットル。年産300万リットルという程度でも大きい部類に入るから、ここの所の世界的人気で原酒の供給が逼迫し易い状況なのも頷ける。

これに対し、グレインウィスキーは現在、僅かな数の蒸留所で集中的に作られる形で、一箇所につき数千万~1億リットルというレベルで生産されている。 グレインウィスキーのスピリッツはサイレントスピリッツとも呼ばれる程、個性が薄いとされる。グレインウィスキーはいくら頑張ってもモルトの様な個性や味わいを持つ事は殆ど不可能。
グレインの殆どが連続蒸留機で作られるが、連続蒸留機にも色々なスタイルがある。一番古典的で小規模なコフィ・スティルは非常に少数と考えられる。その代表選手が、ニッカの宮城峡にあるスティルである、そこで作られるカフェ・グレーンは入手可能である。


スコッチの、グレインの蒸留所では、同系列ブランドのジン・ウォッカ・各種リキュール等のベースとなるニュートラルスピリッツも大量に作っている筈である。そこで、ニュートラルスピリッツ(日本でいう醸造用アルコール)を製造する序でにグレインウィスキーを作っている様にしか思えないフシがある。 マルチカラムと言われる様な大型の連続蒸留機で、ニュートラルスピリッツになってしまう直前の物をグレインの原酒として取り出している感じである。
大型の連続蒸留機でも、取り出すべき成分のバランスを調整している筈なので、ニュートラルスピリッツになってしまう事は無いが、歩留まり重視で高速に大量生産されたスピリッツはサイレント過ぎになる可能性が高く、これだけでウィスキーとして成り立つように出来るかと云えば、悲観的な答えにならざるを得ない。
そこに原料の問題も加わる。原料としては圧倒的にトウモロコシが多いらしくその次が小麦という模様。この二つ以外にもライ麦、ハトムギ、燕麦、大麦等々も使用可能である。
蒸留だけでなく、原料選び~仕込み~蒸留~熟成という所の全てが絡んで品質や特徴が決まる。

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(左=Carsebridge 28yo 56.9% James MacArthur のボトリング 
(右=Port Dundas 20yo Diageo によるオフィシャルボトル 
こちらの記事を参照)

実は、今の様に青天井暴騰相場になる前の4~5年前なら、60年代又は70年代蒸溜の長熟なシングルグレインがそれなりの価格で入手出来た、しかも、最高級のバーボンあたりを凌駕する出来の奴も結構あったのである。 グレインは所詮グレインと云って馬鹿にすることは必ずしも適当ではないのである。
あのD. ベッカム(David Beckham)がヘイグクラブ(Haig Club)というグレインウィスキー(青いスクエアボトルのヤツ)を大々的に宣伝したのは記憶に新しいが、モルトが品薄気味で価格高騰も留まる所を知らないという流れの現在、グレインウィスキーに新たな可能性を模索する動きが出ているのも事実である。


可能性を模索するなら、もっと丁寧にしっかり作れ と言いたい所だが…、

冗長になるのを防ぐため、この先はPart 3 に持ち越す事にする。


 

)Carsebridge はU.D.=United Distillers 傘下のグレイン蒸留所だったが1983年に閉鎖、92年には解体。一部機器はCameronbridge で再利用されている。画像のボトルは当然1983以前の蒸留
同蒸留所は1799年モルトの蒸留所として創業、19世紀半ばにグレイン製造に転向。1877年のDCL (Distillery Company Ltd.)創設と共にこれに加わった



※ この記事は旧ブログからの移転記事につき、旧ブログにてアップされた時点(Nov. 2015)での事実関係に基いて書かれているので、現在の事実関係とは大きく異なる場合があっても何卒ご了承賜りたい。

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