先日、金沢文庫~八景間(J-TREC の辺り)で京急を撮影した帰りの事だった。都内に帰る途上、久方振りに生麦のこの酒屋に寄ってみた。店主氏は配達に出ていたが、奥様と話して時間を稼ぎ帰りを待つ事にした。

いつもながら、マイナーでも優良な物を揃えていると感心するものである。 店主氏と話をさせて頂く度に勉強になる。ワインに対する考え方に於いて私と近い部分が有ると思われる。よって非常に長話になる事が多い。 

さて、そこでの話の中の一コマとしてこんな質問が切り出されたのだった
「一度聞こうと思っていたのですが…、ウィスキーのマッシング(mashing=麦汁作り)の際に捕糖はしないのでしょうか?」
この質問には少々虚を突かれた感がある。 ワインでは補糖・補酸は半ば常態化しているフシがある。葡萄の糖度(熟度)が上がらない時、酸が不足した時等に条件付きで許されている。補糖でアルコール発酵を促し、充分な度数を確保する。補酸でワインの構造を強化する、という事が行われるのである。


ワインオンリーでやって来た人ならこういう質問をしてもおかしくは無いかもしれない。如何にもワイン的発想という事で片が付いてしまう。
店主氏はモルトウィスキーを始めとしたハードリカーにも造詣が深い、小生なんぞ到底太刀打ちできない。そういう御仁からこんな質問が飛び出したので、虚を突かれた感じになったのである。
現実として、近年蒸溜のモルトもグレーンもクソ軽い(シャバシャバな)奴が多いので、マッシング時に捕糖でもして作っているのかと思ったらしい。


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(画像はあくまでもイメージであって、記事との直接的関係は無い)


この質問への答えとしては…、 法律上、マッシング時の補糖は出来ない。補糖をすればウィスキーの法定義から外れてしまう。
スコッチのみならず、バーボン、テネシー等のアメリカンウィスキー、アイリッシュ、カナディアンでも同様である。これはあくまで法律上の話でしかないとも考える事も可能である。


ウィスキーの世界だって今は売ったモン勝ちである。だから生産効率を優先して、出来るだけ多くのアルコールを採る事を求めている。
もし、マッシング時に捕糖で糖度を上げれば、ウォッシュの度数も上がり、スピリッツもより歩留まりの良い形で生産できるという事にもなる、あくまでも単純計算的な話だが。


ただ、現実にはマッシング時に捕糖をしなくても多くのアルコールを採って歩留まりの良い形で生産する方法はある。簡単に言えば、麦芽内の澱粉から酵母菌が資化出来るタイプの糖類を多く取り出せれば良い
大麦の品種もドンドン変化して、澱粉含有量がより多いものが使われる。これだけで麦芽1トンあたりで可能なアルコール収量も劇的に上がっている
勿論、これのみならず昔に比べて製麦からそれこそ瓶詰に到るまで、全ての部分で技術が向上しているのでwwwww、こんな事はお茶の子さいさいなのであろう。

歩留まり良くスピリッツを採ろうとすればするほど、デキストリンの様な大型の糖類や各種アミノ酸等といった所の、ウィスキーに深みや重厚さを与える有用な成分は減らざるを得ない


このやり取りの後、帰る車中、もぐりで捕糖されてる可能性は絶対無いとは言えないと思ったのであった。
それこそ、外から見えない所でモルトシロップや水飴(共に主成分は麦芽糖ww)でもこっそり入れる事は不可能とは言い切れない部分が有る。


出せば売れるという超売り手市場なので、多少のインチキをしても売ったモン勝ちであると思えば、こういう疑いを持つ人がいても何ら不思議ではない。

まだまだ述べたい事があるので、Part 2 へと続く!

因みに…、
左画像=Johnny Walker Double Black、 右画像=Johnny Walker Swing 90年代初頭位?



※ この記事は旧ブログからの移転記事につき、旧ブログにてアップされた時点(Feb. 2015)での事実関係に基いて書かれているので、現在の事実関係とは大きく異なる場合があっても何卒ご了承賜りたい。



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