Côtes du Rhône北部の代表的銘醸地、Côte Rôtie(コート・ロティ)の名手の一人である、Domaine Jamet(ドメーヌ・ジャメ)のワインを取り上げる。

Jamet は以前はファインズ(サントリー)が輸入元だったが、東京でも決して入手し易いわけでは無かった。
実は以前、神戸のある酒屋に結構置いてあった事があり、私も神戸に行く度に買ってはハンドキャリーで東京に持ち帰った事が幾度かあった。その時は然程高価ではなかった。それ以外にも、名古屋や札幌の酒販店から取り寄せた事もあった。 自分なりに結構努力して手に入れたストックの中の1本である。

jamet97n01さて、味の方であるが、予想とはかなり違ったものであった。なめし皮シナモン、クローブといったスパイス類の香りはあるが、それらは控えめ。中心的要素は赤い果実類、特にラズベリー、更に黒系果実類が続く。 加えて、野薔薇やハイビスカスの様な要素も僅かにある。
中でも、焼き立てのフランスパンラズベリージャムを塗っている様なニュアンスが印象的であった。 Rhône 北部のSyrah で出来たワインでありながら、Bourgogne のPinot Noir 的なシルエットなのである、勿論、口当たりはSyrah なのだが。


1997年のローヌ北部は暑い日が多くて、酸が低い傾向で比較的早熟であると評されるが、それを鵜呑みにすると失敗する。酸のレベルは予想以上であり、濃密さと堅牢さが目立つ。まだまだ開き切るには時間が掛りそうな印象であった。
確かに、Côte Rôtie でも長熟すると、Bourgogne を彷彿とさせる表情を垣間見せる事は結構あるのだが、それにしてもこのワインの味は少々予想外であった。 恐らく、Jamet の元々の作りと、1997のヴィンテージの性格が相俟ってこういうワインになったと考えるのが妥当であろう。

早熟と言われた1997でもこの状況なら、1995や1999の飲み頃はまだまだ先ではないかと思われる、恐ろしい事だとも言える。

Côte Rôtie でもJamet やR. Rostang(ルネ・ロスタン)の様にクラシックにかっちり厳しく作る蔵のものは、飲み頃の予測が難しい
Côte Rôtie と御近所のHermitage(エルミタージュ)やCornas(コルナス)でも同じ様な事が言えるのだが。


Les Meilleurs Vins de France 的な感じで点を付けると…、 18.5 / 20

矢向にあるローヌファン必修の酒屋でこのワインの話をしたところ、Jamet は醸造時の抽出温度が高く、Bourgogne を強く想起させる味わいの一端はここから来ているという見解であった。その後、奇しくも、北ローヌのSyrah 相手には兎に角忍耐であると言われた。
生麦にある大正10年創業の某酒屋に行った時にも、Côte Rôtie の話が出たのだが、そこの店主曰く、「Côte Rôtie は飲み手を選ぶものが多いから、貴族的なワインだと言える」という見解を聞いた。
彼の論理で言うと私は貴族的な男という事になってしまうのだが…。 小生はとんでもない物を好きになってしまった様だ!
 

ローヌでも特別な cuvée を造ったり、cuvée を幾つにも分ける所が増えているが、Jamet はそういう事をせず、Côte Rôtie は1種類しか作らないが、Lencement 等の秀逸な畑を所有している。 2000年からはエティケットも変わってしまい、この雰囲気のある外見ではなくなってしまった。
しかも、最近はインポーターが代って、酒販店で手に入れる機会が殆ど無くなってしまった上に、もしあったとしても非現実的な価格になっている。



※ この記事は旧ブログからの移転記事につき、旧ブログにてアップされた時点(Mar. 2012)での事実関係に基いて書かれているので、現在の事実関係とは大きく異なる場合があっても何卒ご了承賜りたい。

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