フランス南部でもプロヴァンスのワインというと日本のマーケットでもマイナーな存在。現にこのブログでも中々取り上げる機会が無くこれで漸く3回目という状況である、ローヌは結構取り上げる回数も多いのにである。
プロヴァンス随一の銘醸であるBandol (バンドール)、その中でも虎ノ門のCave de Re-Lax や目黒のaVin (アヴァン)が推している作り手の作品を取り上げる。勿論このボトルも虎ノ門で購入したヤツである。
バンドールのワインはプロヴァンスに別荘を持つ様なセレブ上級市民達御用達みたいな部分があるので日本にはあまり回って来ない。更に蔵の方も近年は価格設定がかなり強気なので、結構高価になってしまう。


このAOC Bandol 自体は以下に挙げるエリアから構成される=Bandol、La Cadière d'Azur(ラ・カディエール・ダジュール)、Evenos(エヴノス)、Le Beausset(ル・ボーセ)、Sanary sur Mer(サナリ・シュル・メール)、Saint Cyr sur Mer(サン・シル・シュル・メール)、Le Castellet(ル・カストレ)、Ollioules(オリウール)の8か所である。Bandol の生産者というと、Tempier (タンピエ)・Pibarnon (ピバルノン)・Pradeaux (プラドー)というトリオが非常に有名なのだが、マイナーでもそいつ等に引けを取らない様な作り手も確実に存在するのである。

Bandol でも上述の La Cadière d'Azur に所在するこの Château Vannières(シャトー・ヴァニエール)も日本ではあまり知られていない様である。比較的標高の高い所に30ha程の畑を所有し植密度はha当りで5000本とこの地域の伝統的な数字。栽培から醸造に至るまでクラシックなやり方を採用し続けている様である。5世紀に渡って Boisseaux (ボワソー)家の下でワイン造りを続けているというバンドールを代表する名門で、現在は当主Eric (エリック)と Charles-Eric (シャルル・エリック)という Boisseaux 親子が中心になってワインを作っている。

赤ワインはMourvèdre (ムールヴェドル)95%に Grenache(グルナッシュ)5%という構成で作られている。この事からもかなり頑強な長熟形ワインである事が容易に想像出来る。AOC 規定ではムールヴェドルは50%以上100%未満であれば良く(100%使用は禁止されている)、同種の比率を60~70%程度に抑えている蔵も多いが、敢えて95%までに上げているのは珍しいと思われる。そんな所にもボワソー家の並々ならぬ拘り+プライドが見て取れる。

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ワイン自体のインプレッションに入る。

先ず色についてだが、レンガ色の微かに入ったガーネットで結構暗め。クリアネスも艶もしっかりあって美しい色合いである。
拾い出せた香味のエレメンツを挙げて行くと…
第1グループはリコリス昔のFernet 系、ラプサンスーチョン、Earl Greycrème de moca
そこから遅れて途中から第2グループとしてはプルーン、ハスカップ、ブルーベリー、ブラックチェリー、干し葡萄、胡椒、
腐葉土、乾式葉巻、煎ったカカオ
更に端役的クラスターとしては乾燥セップ茸、トリュフ、
野薔薇、赤スグリ花椒、丁子、タイム

タンニンはまだまだ思いっきり主張してくる。ただ嫌みのある出方ではないからその質は良好に見える。舌の上ではズシっと締まったフィーリングもある。またそんな所がMourvèdreなのであろう。
タンニンに隠れがちだが、酸もかなり綺麗でしっかりして力を感じさせる。各要素はキレイに溶け込み重合感もナイス。肌理も細かく美しく整っている。


フィニッシュは大きく盛り上がるという訳ではなく、一寸スッとしている様に見えるのはどうかと思うものの、全体としてシームレス+ステディで、その長さはしっかり確保されている。

最後にスコアリングの結果だが…、18 / 20 は普通にやってイイ。
21年経ってもまだ硬さが少々目立って内向的な部分もある。相当な頑強さを持つワインなので、20年位では神髄を発揮するには時間が足りないというのだろうか?(テイスティングは2019年末)




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