国鉄発足から丁度70年という節目なのだが、余り話題になってもいない様だ。1949年6月1日の発足当時はというと、確かに国の直轄事業から公社形式に変わったのだが、実質的には看板が掛け変った程度にしか思われなかったのであろう。


581ktm70s01
カツミの581系HO ゲージ模型・1970年代のロット

1949年というと、戦後の混乱は終息に向かってはいたが、それまでの混乱と資材価格の大幅上昇等、戦争帰還者を大量に雇わざるを得なかった事等が色々重なった結果、大変不利な状況下でのスタートを強いられた。結果論と言われればそれまでだが、発足時点で既に破綻のスウィッチは押されていたと考えるのが妥当なのであろう。
発足直後の49年9月に公社化後で初のダイヤ改正によって特急列車が復活し、1950年10月の大規模改正を迎えようとしたが、その間に朝鮮戦争が勃発しその特需に押されて高度成長期に突入したが、国鉄自体はGHQ の指示を受けて米軍の為の軍事輸送を担う必要が生じて混乱が生じる事となった。



475a25@tak01
今は無き475系、A25 編成は最期までデカ目を貫いた

日本が表面的には独立を回復して、
この後50年代終盤からは64年の東京五輪を控えていた事もあり、都市部を中心に急激な近代化を行わなければならなかった。
所謂国鉄形電車で111~115系415系ブラザーズ165 / 169系471~475系183/189系481~489系581 / 583系等々の近郊型以上の車両についてはそのプラットフォームは然程変わらず、それらは1958年に登場した153系のそれを踏襲し続けたのである。よって485系113系183系415系というコンバートも比較的容易だったのである。


因みに、色々仕様変更しながらも一つのプラットフォームを使い回して平準化するのが効率良く高性能高速化という課題に対処するには欠かせない事だったのは明らか。ただこの平準化はあくまでも国鉄内の話であって、今の関東を中心に蔓延する平準化とは意味合いが少し違う。
国鉄形車両について言えば、不幸にも70年代から一気に停滞を余儀なくされた事で、最末期までプラットフォームを一新する機会を失ってしまった事実も看過出来ない。


元々発足の時点から大きな爆弾を抱え続けながらも、1960年代という国鉄唯一の黄金期がやって来る。
1958年10月の所謂「サンサントオ」で20系客車が特急あさかぜに投入され、東京以北で初の特急列車となるはつかりが運転開始。11月に151系特急こだまが登場
その翌年には紀勢本線が全通し幹線網は完成を見たが、同時に東海道新幹線が起工した。そして次の1960年にはつばめ・はと・こだまが統合されて151系での運転となり、東京~大阪間が6時間半で移動出来る様になった。


81725@tak01
花の1968組の一角を占めるEF81

国鉄の第1次5ヵ年計画の集大成にして次の第2次5ヵ年計画のプロローグとなる、初の「白紙改正」ともなった「サンロクトオ」こと1961年10月ダイヤ改正になだれ込む。当時の総裁だった石原米彦の弁によると「鉄道が如何に便利なものであるかを実証する事を考えた」改正だった。
旅客面の充実に力が入れられた事で、特急・急行・準急の増発により優等列車網が一応の完成を見て、夜行列車の寝台化も進められた。その反面、貨物輸送は短距離を中心に削減され、優等列車運行を優先するために普通列車が削減となった線区も多かった。増大する旅客需要に対応するダイヤ改正だったが、同時に建設されていた東海道新幹線に予算を優先的に割いた事で設備面の投資は追いつかない状態で悲鳴を上げた様になり遅延や事故が連発する事態を招いたのは皮肉である。


そして、燦然と輝く伝説の「ヨンサントオ」=1968年10月ダイヤ改正を迎えた。国鉄は1964年の東海道新幹線開業から赤字に転落していたにも関わらず、翌1965年から3兆円規模の超大盤振る舞い設備投資を7ヵ年計画として遂行していた。そしてその中間点としての大きな成果をアピールすべく行ったのがヨンサントオだった。これで最重要な幹線は120km/h対応となった。そこに花の1968組ともいうべきあの名車達が一気にデビューして特急・急行大増発+スピードアップが行われた。
勿論その1968組とは、485系583系EF66EF81キハ181系である。


そんな華々しくも見えたヨンサントオだったが、ローカル線では大減量ダイヤとなり、無煙化が一気に進められて蒸気機関車が一気に姿を消した。それのみならず、このダイヤ改正の代償は思いの外大きく国鉄の財政は大きく悪化。これを以って件の 7ヵ年計画は打ち切られ、国鉄は停滞の時代を迎え崩壊へのカウントダウンが進んで行く事になってしまった。
更にこれが民営化された後の世に於いて幹線と呼ばれる線区でさえ高速道路やバイパス(バイブスではない!)等の高規格道路に対抗出来ない状況を生み出した大きな要因と思われる。
更にはあのとんでもない病理が炸裂して行くのでもあった。


ここまで書いたらもう其の参までやるしかないから、其の参へと続く!




当サイトは各種ランキングに参加しておりますので、画面右側若しくは記事内のバナーをクリック下さい。
御訪問の序でにその中のどれか1つでもクリックを頂ければ幸いです。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログ デジタル一眼(PENTAX)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 酒ブログ ワインへ
にほんブログ村