アンダルシア、それはスペインでも最南部で地中海と大西洋に面した場所で、ジブラルタル海峡を挟んでモロッコと向かい合う。主要な場所としては、Sevilla (セヴィーリャ)、Cordoba (コルドバ)、Màlaga (マラガ)、Granada (グラナダ)、Jerez de la Frontera (へレス・デ・ラ・フロンテラ)といった町がある。世界遺産も多く存在し、白い壁の建物が並ぶ街並みが彼方此方にある。
モロッコにも近い場所にあるという事から、アラブ勢力の支配を受けていた時代もあり、イスラム様式の建築物のみならずイスラム圏のテイストが色濃く感じられる場所も多い。又、フラメンコの本場もこのアンダルシアである=Sevilla が発祥の地。


この地方の特産品というと…、そこはスペインなのでオリーヴや生ハムは直ぐに出て来る。へレスやカディスの様に海に近い所なら魚介類やその加工品というのもアリだろう。
この他はというと、アンダルシアといえは何と言ってもシェリー!


シェリーとは、Jerez-Xérèz-Sherry なんて3ヶ国語併記の珍しい形になる D.O.(denominación de origen=産地統制名称)を持つあの酒精強化ワインである。Jerez de la Frontera (へレス・デ・ラ・フロンテラ)、El Puerto de Santa Maria (エル・プエルト・デ・サンタマリア)、Sanlùcar de Barrameda (サンルカル・デ・バラメダ)という3つの地域で生産され法に定められる一定の要件を満たす物がシェリーを名乗れる。

アンダルシアで産されるワインといったら、結局シェリー以外は思い浮かばない=直ぐには他の名は出て来ない。ぶっちゃければこれが現状ではないか。
そこで先ず、同州で設定されているD.O. は幾つあるだろうか?
それが意外と少ない。
(Ⅰ)Jerez-Xérèz-Sherry y Manzanilla Sanlùcar de Barrameda
(へレス・ケレス・シェリー・イ・マンサニーリャ・サンルカル・デ・バラメダ) 
(Ⅱ)Montilla - Moriles(モンティーヤ・モリレス) (Ⅲ)Condado de Huelva (コンダド・デ・ウエルヴァ)
(Ⅳ)Màlaga (マラガ) (Ⅴ)Sierra de Màlaga (シエラ・デ・マラガ)


実を言うとたったこれだけである。この中でいえば(Ⅰ)が断トツメジャーで他を圧倒している。
嘗ては(Ⅳ)のマラガも酒精強化ワインとして、又甘口のデザートワインとして人気があったものの、現代では世間のニーズに合致しなくなりその地位と人気は低下していった。ただ、又近年になって復活の兆しも見せている。主要品種は Pedro Ximénez 並び Moscatel で、これを収穫後天日干しにしてから醸造、発酵の途中で酒精強化を行い発酵も止めて糖分を残して甘口にする。(Porto =ポルトに近いやり方)
これに対し、Sierra de Màlaga のD.O. では赤・ロゼ・白の普通のスティルワインが生産される。


これに加えて(Ⅱ)(Ⅲ)もシェリーに近いタイプのワインが多いので、アンダルシアはフォーティファイド系のワインの宝庫であるという事になる。この背景には温暖過ぎる気候並びレコンキスタ以降近世に至るまでの歴史があると推察される。
この地方では夏場になると最高気温が40度に達する事態が頻発する上に、雨量もかなり少ない。このような条件下では葡萄は焼けた様になり易く酸も育たないから、通常のスティルワインの生産にはあまり向いていない。
15世紀辺りからアンダルシアのワインは広範囲に輸出されていたが、その時代は勿論リーファーコンテナなんて無かったから、熱劣化に強いフォーティファイド系ワインが有利だった…そう考えれば合点が行く。


前述の通り、アンダルシアではシェリーが無双してしまう訳だが、そのオルタナティブとなり得る存在はあるのか?
あるとすれば、質という部分に於いてはへレス同様とよく似たキャラのワインを産する Montilla - Moriles (モンティーヤ・モリレス)様ではないか。最近になってそのモンティーヤの面白さが判って来た小生である。


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Montilla - Moriles の代表的生産者、先ずは Alvear (アルヴェアル)の中でもプレミアムレンジの逸品達を。
左画像=Fino CB (フィノ・セ・ベ)15度 葡萄はPedro Ximénez (ペトロヒメネス)100%で、フィノでも10年前後熟成した物をボトリング=フロール(flor)が生きていられる限界の年数近くまで熟成した事になる。19世紀初頭にセラーマスターを務めていたCarlos Billanueva (カルロス・ビジャヌエヴァ、そこはVillanuevaではない)のイニシャルを冠してCB と名付けられた自信作。確かに華やかさと深みがあって且つ価格も控えめで小生のお気に入りとなった。
右画像=Oloroso Asunción (オロロソ・アスンシオン)並びに Amontillado Carlos Ⅶ(アモンティヤード・カルロス7世)共に度数は19%で20年以上の熟成を経る。
Oloroso は酒精強化をして、Amontillado は酒精強化をしていないというのだが、自然発酵だけで15度を超えて酸化熟成に耐えられる度数まで行くとはなかなか考えにくい。モンティーヤのワインで Fino 並び Amontillado では基本的に酒精強化をしないとされるが、それは使用する葡萄がペトロヒメネスという品種は糖度が非常に高くなる=完全発酵で高い度数が得られる事に由来している。


ところで、Jerez-Xérèz-Sherry と Montilla - Moriles はどう違うのか?
そんな所まで1記事でやろうとすると長くなるので、そこはPart 2 に譲りたい



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Alvear に続いてこちらもモンティーヤでは有名な Toro Alvará (トロ・アルヴァラ)
1922年発足のこの作り手は極甘口の Don. PX (ドン・ぺーエキス)シリーズで有名だが、Fino・Amontillado・Oloroso 等々色々なタイプを作っている。


左画像の2種類だが、左は Marqués de Poley Oloroso (マルケス・デ・ポレ・オロロソ)
アルコール発酵が終った所で更に酒精強化されてそこから10年以上の酸化熟成を経て瓶詰めされる、度数は17度。
右は Fino Eléctrico (フィノ・エレクトリコ)Eléctrico の名は Alvará が創業に当って購入した建物が以前発電所だった事に由来する。地元でこの蔵のワインを買う際は「電気ショックをくれ!」等というのだとか。フィノは10年熟成で度数は15%


次に右画像の2点。左は Amontillado Viejisimo Sorela 1922 (アモンティヤード・ヴィエイシモ・ソレラ1922)
Marqués de Poley シリーズの最高傑作ともいうべき物でソレラシステムで35年程度の熟成とされる。度数は21度。小生も以前に 1本購入して飲んだが、さすがというべき出色の逸品
右=Marqués de Poley Cream (マルケス・デ・ポレ・クリーム)度数が17%の甘口でフィノ・オロロソ・PX を40・30・30の割合でブレンド。





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