ロワール(Val de Loire)の赤というとあまりパッとしないイメージを持つかも知れないが、そんな事はない。ボルドーやブルゴーニュという超メジャー生産地ではないが、メジャーではない事は能力的に劣るという事とイコールではない。
それでもこの日本ではロワールの赤=青臭くて未熟な感じが強くて瘦せっぽちでダメという烙印を一律に押している「ワインのプロ」も多いのが現実である。


超メジャーブランド生産地のワインを吹き飛ばす様な秀逸なワインも生み出されている。
使用されるブドウ品種は主にCabernet Franc (カベルネ・フラン)、Cabernet Sauvignon (所謂カベソー)が多く、他には Gamay(ガメイ)、Pinot Noir (ピノノワール)、Grolleaut (グロロ)、Malbec (マルベック)が使われる。
特にChinon (シノン)Bourgueil (ブルグイユ)この地方の赤ワインでも双璧をなすAOC で、ロワール渓谷の中央部で川を挟んで対峙する様に存在している。そこから東は Touraine (トゥーレーヌ)地域で西は Saumur (ソミュール)地域になる。(トゥーレーヌやソミュールでも秀逸な赤ワインは存在する)


当サイトでも一度フィーチャーした Pierre Jacques Druet (ピエール・ジャック・ドゥリュエ)ブルグイユを本拠にする非常に秀逸な生産者である事はこちらの記事でも実証済み。ワイン造り自体は非常に誠実で健全で小生も好きな作り手だった
因みにこの生産者の創業は1980年なので、日本でいう「松坂世代」に入る。


そのPJ ドゥリュエだが、何と2016年3月に倒産していたというのである
実を言うと、小生がこの事を知ったのはつい最近の事だった。都内の有名酒販店でこの蔵のワインが投げ売りみたいな価格で売られていたので気になって、そこに付いていたボードの説明を見て愕然
そこでこの蔵の倒産を知ってしまったという訳であった。帰宅後に調べてみると、2016年3月半ばに倒産していたのは事実の様だった。
自社のカーヴで長く熟成させたワインを非常に良心的価格で供給していた事でも有名で、良識的ワインファンには愛されていた筈である。1990年代中期のヴィンテージが5000円程度で買えるというある意味で恐ろしい存在だったが、そんな商売は相当な資金力がないと不可能なのは言うまでもない。


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ドゥリュエとしてはフランス国内で消費してもらう事が前提で、輸出でバカバカあぶく銭を稼ごうなんて考えは毛頭無かったのは明らか。その事自体は非常に健全である。
加えて、ロワールの赤は如何しても価格がある程度の所で抑えられてしまう傾向があったので、自分から価格を思いっきり抑えてしまったのだろうか?
蔵出しした熟成ワインの価格を抑え過ぎたというのが倒産の原因なのは間違いなかろう。超良心的で健全な部分が健全な経営を阻害し倒産という悲劇に至ってしまったのは極めてシニカルだとしか言い表し様がない。


これに対し、ロワール赤ワインで他の秀逸な作り手、例えば Clos Rougeard (クロ・ルジャール)Charles Joguet (シャルル・ジョゲ)は日本への入荷が激減したのに加えて、価格が大幅に高騰した。
C. ジョゲの場合で 2倍を超え、ルジャールに至っては以前の約 4倍で 2万円を伺う様な所まで行ってしまった。幾ら何でも行き過ぎで適正なレンジを大幅に超えてしまったのは明らかである。

付け加えておくと、ドゥリュエのワインはまだかなりの量のストックがあると思われ、この先5~10年程度は市場に出回り続けると思われる。ただ、倒産した後の債務整理という事も絡んでいるので価格はかなり上げられてしまう可能性はある。

小生としてもそれなりの価格で確保出来る内にある程度は確保しておきたいと思うのであった。


画像=Brougueil Grand Mont 1998



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