Dufftown 街角ミュージック

穏健リベラルの波とマイナーパワーがこの世を救う

2016年9月、FC2 から移転。
Blairfindy1号2号から大文字左京(だいもんじ・さきょう)に改名しリスタート
旧名義の画像が混在しているのは御了承願いたい

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2015年11月

Isle of Arran 蒸留所は頑張っているか?

最近、(Isle of)Arran の評価が高くなっている様である。この蒸留所は「クラフトディスティラリー」と呼ばれる、資本も規模も小さく、何処の大手資本系列にも属さない独立蒸留所の一つである。 Arran は1995年にその名の通りアラン島で創業、今年で丁度20周年という事になる。

今でこそ蒸留所の新規開業や拡張が相次いでいるが、1995年と云えば、スコッチウィスキー業界は80年代の不振から抜け出せたとは言えず、閉鎖や休眠に追い込まれる蒸留所も出ていた頃である。
そんな時代に産声を挙げたこの蒸留所、勝算もなく始めた訳でもなかろうが、今迄順調な歩みを重ねてクラフトディスティラリーの優等生的な地位まで来たと言って良いかも知れない。 この蒸留所の酒だが、これまで小生にとってはあまり印象に残っていなかった。
出会いは、今から10年近く前に京都は
木屋町二条のあるバーだった様に記憶している。

その時出ていたボトルは一桁年数の非常に若い物しかない状態で、(稼働して10年だから仕方ないが…)酒質自体悪くは無いが小生の好みとは言えなかった。イベント等でも頻繁にブースが出るなど触れる機会は多かったが、こちらから積極的に手を出した記憶はない。 最近では12~15年程度のアイテムは比較的見掛ける機会が多い様で、それだけ年月が経ってきたのだという事でもある。
またここ最近はオフィシャルボトルで限定品がそこそこの頻度で出ていて、最近ありがちな気違いじみた価格ではなく、まだ現実的な価格で提供されている事が多い。


去る11月12日夜、Arran 蒸留所の20周年記念パーティーで行われたので小生も足を運んだ。参加費は2000円、事前のオンライン決済で予約したが、100枚のチケット(多分一般販売分)は事前に完売で、当日券は出なかったという。今、好調と言われるこの蒸留所だが、これが本当なのかを確かめ、少々停滞気味の酒活にも少し喝を入れるという意味も込めて参加したのであった。
少々遅刻は仕方ないかと会場に向かったのだが、新橋駅から歩いて行った。10分程度の遅刻で行けるかと思ったが、新橋~汐留の地下道が判り難い。地下道で迷子になって挙句の果てに、パークホテルではなく、ロイヤルパークホテルに出てしまうという大失態!又地下道に戻り、漸くパークホテルに辿り着いたは良いが、このミスで15分以上ロスしたのは想定外だった。

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左は初期のスタンダード品 現在の10年・46%が出る前の物で、度数も43%という事もあり、若いものの基本的に穏やか。
右は12年のcask strength=度数調整無し、52.9%オフィシャルボトルで10~12年程度のカスクというものは少し増えてきたような気がする。その中でもコイツはかなりイイ、この蒸留所はそれなりに丁寧に作ってはいるというのが伝わってくる。

ここから、この日出ていたスペシャルなアイテムから3点だけ紹介する


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上段左=Angel's Reserve 18yo 1996 51.1%
1996年蒸溜のオロロソシェリー(Oroloso Sherry)カスクの中から、所謂エンジェルズ・シェアが多い(目減りが早い)物を複数抜き出し、カスクストレンクスで瓶詰した限定商品。価格は14000円前後で現在の相場からすると比較的リーズナブルだった事もあり、僅かな期間で売り切れて今は入手不能。
優れた樽を選んで上手に纏めたと思われるなかなかの逸品。シェリーカスクが好きな人間であれば、充分に楽しめる。何故発売直後に手を付けなかったのかと反省する小生だが、後悔先に立たずとはこの事。樽がきついと感じる人もいるかも知れないが、第一にはArran というモルトがどうのこうのというより、シェリーカスクのモルトの良さを思いっきり堪能させてくれる一本。
 

上段右=Isle of Arran Illicit stills 56.4%
バーボン、シェリー、ポートの樽から選んだ原酒をブレンドした物で、カスクストレンクスで瓶詰。背後にあるのはコイツのケースで、薄い板を張り合わせて辞書の様に仕立てた感じに見える。こんなゴツイ箱なんぞ要らんのだが…
バーボン樽の比率が高いと思われ、シェリーやポートの影響は濃くない。ピート香が感じられるので、ピート焚きの原酒を使った可能性が高い。
総体的に香り、ボディ共々華やかで、バランスも良く非常に楽しめる。販売見込み価格は13000円前後なので、酒としての内容及び今の相場を考えると決して高いとは言えない。
が、しかし…、香味の開きが早いと思われ、開栓した後崩れるのが早いという恐れもある。


下段=The Bothy quarter cask batch 1 55.7% 12000 bottles
年数の異なる複数のバーボン樽から選んだ原酒を集め、アメリカンオークのクオーターカスクで18ヶ月追熟して度数調整無しで瓶詰。(註1) 無理矢理樽の影響を強くしているので、強引に作った様な不自然な部分が有るかと心配されたが、この部分は杞憂に終わった。スパイシーな所とフルーティーな部分のバランスは悪くなく、変な諄さもない。 
既に海外では結構な高評価を得ている様である。 これも新商品だが、batch 1 と謳う所を見ると、これから年数回のペースでbatch 2,3,4…という具合にリリースするのではないか?


Arran 自体、あまり目立った感じの無い酒質であるが、樽さえ上手く選べれば非常に優良な酒に仕上げる事も十分に可能である。 最近のスコッチ業界は兎に角強気一辺倒、世界的な需要拡大を背景に増産ラッシュだが、同時に価格も高騰しまくり。生産者のみならず、インポーター等の中間業者もここぞと価格を釣り上げ、更には資金力のある一部のバー等が買占めを行うケースも多発して「火にガソリンどころか爆薬まで注ぎまくる」次第である。
その一方この状況下で、手を引く愛好家も増えている小生もモルトへの興味が薄れてきている。 操業から20年、大手のコングロマリットという牛後(ぎゅうご)に入らず、地道に鶏口(けいこう)として歩んできたこの蒸留所が改めて評価されスポットを浴びるのは大変良い事と思われる。


スコッチの現状に辟易とさせられ過ぎている我々愛好家としても、暗闇に一筋の光を見た様な感じである。 Islay 島のBruichladdich(ブリックラディ)は、2000年にJim MacEwan(ジム・マキュワン)の手で復活して以来、こちらも「鶏口」であり続けたが、2013年に力尽き(?)、Rémy Cointreau(レミー・コアントロー) に身売りして「牛後」になる道を選んでしまった。(註2) さて、この先、Arran を待ち受ける運命は如何に。

大規模生産のブレンディドウィスキー全盛だった80年代までと違い、今はスモールバッチで次々と商品をリリースして行く商法での生き残りが可能となった。
このパラダイムの中でなら小規模蒸留所にもチャンスがそれなりにはある。世界を見ればスコットランド以外でも小規模蒸留所が次々に産声を挙げている。日本国内では来年初頭にも茨城県那珂市の木内酒造がウィスキー生産を開始する。

 

註1)樽が通常のサイズの1/4という事でクオーターカスクとなるが、「通常」とはこの場合シェリーバット等の500Lなので、1/4は125Lとなる。バレル(200L)やホッグスヘッド(250L)の1/4だとoctave(オクタヴ)
非常に小さい樽で熟成を掛けると樽との接触面積が(酒の量に比して)多くなる事で、樽の影響が短期間で強まり、これと同時に熟成を促進させるのと同じ効果があるとされる。
註2)J. MacEwan はBruichladdich 蒸留所とMarray and McDavid というボトラーも経営していたが、資金繰りが悪化して負債が1200万ポンドを超えたと言われている。
Rémy Martin は1991年にCointreau と共にRémy Cointreau を結成し、Mount Gay、Metaxa、 Passoa 等を傘下に収めている。





※ この記事は旧ブログからの移転記事につき、旧ブログにてアップされた時点(Nov. 2015)での事実関係に基いて書かれているので、現在の事実関係とは大きく異なる場合があっても何卒ご了承賜りたい。

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関西遠征で改めて認識した残酷な現実

久し振りの鉄道記事という事になるが、さて…
御存知の通り、3月13日から14日にかけて、681/683系の方向転換が、吹田信号所→宮原操車場→塚本→大阪というルートで宮原のデルタ線を使用して行われた。何やら民族大移動みたいな感じにも見えたが、サンダーバードの編成方向を しらさぎ のそれと一緒にする事と、681系 はくたか から しらさぎ への転用が目的だった。
681/683系の北越急行車(Snow Rabbit)も方向転換と移籍に伴う仕様変更の為に大阪にやって来て、関西のファンを熱狂させたのも記憶に新しいはずである。これがある残酷な現実を小生に見せつけたのである。
681/683系の京都車には非貫通=キャノピースタイルの先頭車がある。サンダーバードの場合、それまではこれが1号車として大阪を向いていたのが金沢を向いてしまったのである。ヨンダー=4000番台でない京都車のサンダーバードは大阪行きを撮ればキャノピーのクロを拝めたのである、この様に。


683tb@mes11

683tb@yod11

上は去年11月名神クロスで、下は上淀で2013年11月に撮影したものだが、方向転換前の683系京都車の9発。非貫通クロからやって来ている。
ヨンダー=4000番台が大部分という中で、一部の列車だけだったがこの姿には心躍るものだった。


国鉄のシンボルだった485系を代替すべく681系が北陸に本格投入されて20年である。デザインとしては極めてシンプルではあるが、国鉄からJR に変って新時代に入った事を象徴する存在だった。
3月のダイヤ改正までのサンダーバード用の先頭車形状を思い出すと…


681系=基本編成 大阪側 付属編成 金沢側 共にキャノピー 
     基本編成金沢側・付属編成大阪側 共に貫通
683系=基本編成 大阪側のみキャノピー 基本編成金沢側は貫通 付属編成 両方とも貫通
同4000番台=論外、じゃなかった、 大阪側=貫通もどき 金沢側=貫通


ダイヤ改正時の方向転換で、これがそっくり逆転した事になる。 大阪行のキャノピースタイルを撮りたければ、大阪方に681系の付属編成が使われているケースしかない事になってしまった。これは小生としてはなかなか残酷な現実である。
これに直面させられたは今年10月の事だった。この時の遠征は、あくまでも381系を撮る事が主目的だったのだが、阪和線方面に向かうその前に、初日朝に大阪でレンタカーを借りて名神クロスに行ったのである。(ここから先の画像は全てその遠征時のもの)

 
683tb@mes21

サンダーバードS. はくとの競演シーンなのだが
Seeing is believing… こういう絵になってしまうケースが続発するという事である
金沢側はキャノピーであるのが見えるから余計に悔しく、そして残酷なのである。
貫通の顔ももう少し電気釜風に(485系183系みたいなヤツ)作ってたらマシだと思えるし、せめて E655系 (和=なごみ)みたいな感じでもこれよりはマシに見えるだろうに… センス無しの工夫無さ過ぎである


681tb@mes11

681系付属編成ヨンダーを従えてやってきた。3+9で威風堂々の12発!
キャノピースタイルの方が特急らしくて良い!
サンダーバードの大部分はヨンダーだからこんなこと問題にしなくて良い、両端ともあのヌリカベなのだから。
それはそれで最初から超残酷とも言える


金沢行きを狙えば良いという事になるかも知れないが、大部分がヨンダーである上に、線路の向きその他の要素を考えると、金沢行きを捉えられる(勿論順光で)場所や季節はかなり限られる。サントリーカーブが撮り難くなった今は尚更である。
非貫通の絵が欲しかったら、それこそ加賀温泉や粟津の辺りで早朝出撃を仕掛けてダイナスターでも撮れば良いという事になってしまうのだが…



これも亦残酷な現実である!

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(上は近ホシ車新快速 下は大ヒネ車紀州路・関空快速)

223系225系521系227系で増えているクソみたいなバンパー521系の一部と227系は最初から装備)
車間への転落を防止するという名目で、JR 西日本はこのバンパーの取り付けに狂奔しているが、観ての通り、余りにもみっともない!
今迄とんでもない魔改造ショーを繰り広げてきたJR 西日本であるが、堕ちる所まで落ちたかと言いたくもなる!
そしてこれが221系にまで及んできたのである。 先頭になった時に折畳むか隠せる様な工夫があればまだ良いが、やっつけ仕事で後付したのが見え見え。
先頭にこんな形でバンパーが突き出ていれば、風切り音もかなり出て空気抵抗も増大するのが目に見えている。 JR 西日本の連中はこれを見て誰一人おかしいと思わなかったのか? もしそうならこの会社は病んでいる




510504@mes01

何の事は無いEF510 といえばそれまでだが、これも又、残酷な現実の一つと言えるかも知れない。
北斗星カシオペアを何回も観ている関東の人間からすると、名神クロスで青いEF510 に遭遇する事自体、以前には想像出来なかった事である。
この姿に寝台特急時代の面影を見つけるのは難しい。寝台特急の時はそれなりに小奇麗にしてたのに…、貨物の所属になってすっかり汚れてしまった感がある。
大事な道具は綺麗にしておけと普通は教わるし常識だと思うが、JR 貨物にはそんな常識が通用しないのだろうか。この会社の連中は一体何を教わって来たのかと思う。

66108@mes01
 
10月の遠征で名神クロスと上牧に行ったが、 ゼロロク=EF66-0番台 には逢えず。この辺りだと、午前10時台と正午過ぎ位にEF66 が通過するので、今度こそと思いチャレンジしたが、2本ともサメちゃんだった。関西で出逢うEF66 はサメちゃんばっかりである。

関西に遠征する機会もそう沢山は無い現状なのだから仕方ないが、関西で ゼロロク に対面出来たのは 2008年10月(今は亡き 20号機 )が最後である。ここ数年、 ゼロロク に逢えたケースはは何れも首都圏である。(殆どワシクリ)

小生の鉄活はこの線路脇の稲穂の様にはなかなか実らぬものである。 余談だがこの108号機とはあの5連休以来約1ヶ月ぶりの対面だった。




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Blend という言葉の意味を改めて考えさせられた件 Part 3

sun-hbk505aジャパニーズのモルトウィスキーが最近品薄&入手困難になってきているのは先刻ご承知であろう。
その最たるものが埼玉のイチローズモルトだが、サントリー・山崎、白州も負けず劣らず、ニッカの余市、宮城峡も今や世界的な人気で争奪戦の様相を呈している。
そこで、原酒のストックがこれ以上逼迫しない様にこの異常なまでの人気を抑えるという意味合いもあって今年続々と大幅値上げがあったのである。
 
この需要拡大を追い風になる様な形で、この国内でもモルトウィスキーの蒸留所が続々と産声を挙げている。嘗て鹿児島にあったマルス(本坊酒造)が長野で復活し、間もなくガイアフローが静岡蒸留所を、堅展実業が厚岸蒸留所を稼働させ、岡山市では宮下酒造が同社 100周年記念事業としてウィスキーの蒸留を既に開始している。
 
そしてモルトと同時に同時にブレンディドの方も世界的な人気で品薄になる可能性が高い。特にサントリー・響は彼方此方で賞を受賞して凄い事になりそうな感がある。 今や日本国内でジャパニーズがスコッチより入手困難になるという逆転現象が起きているのである。

(左の画像はサントリー・響17年  しかも今や幻となった50.5%のヴァージョン)

日本のモルトが人気になるのは判る、この人気がブレンディドウィスキーまで波及する背景には、 スコッチのブレンディドウィスキーはドンドンレベルダウンして、今やジャパニーズの方がマシだと感じる消費者が世界的に増えているとすら思えてならない
 


sunchita01先日小生がここで述べて来た事を検証する機会に恵まれた。
某・信〇屋が銀座で開催した同社創業85周年記念の展示会に足を運べた。同社が取り扱う酒類・食品類のみならず、取引先各メーカー・インポーターも出展されていた。ただ、入り時間が遅れてしまった為あまり時間が無い中で、テイスティングしたいアイテムは何とか一巡出来た。

そして、最後にサントリーのブースに駆け込み、新発売のグレインウィスキー、知多を試す事が出来た。
年数の比較的短い原酒を使っているのであろうが、その味自体、取り立てて何かがあるとまでは言えないが、ウィスキーとしてはそれなりに成立している。シングルグレインとしてリリースした判断は間違いとは言えず、ジャパニーズグレインの可能性すら垣間見せてくれた様にも見える。

サントリーは2013年から白州でもグレインウィスキーの生産を開始した。そこでも知多同様、色々なタイプの原酒を注意深く作り分けている様である。ニッカには宮城峡のコフィスティルがあり、キリンの富士蒸留所ではグレイン蒸留用に全く形の異なる3つのスティルを使い分けていて、バーボン蒸留用のビアスティル+ダブラーもある。 サントリーの関係者は「グレインは出汁の役割をする」と説明している。

一方、スコッチの世界ではグレインはキャンバスと呼ばれる。ブレンディドウィスキーのベースはグレインという事である。 少なくとも今まではジャパニーズに対する需要が高くなかった事も幸いしてか、それなりにはきっちり作っていたと思われる。これがジャパニーズウィスキーの世界的評価を押し上げた重要な要素の一つになったとも考えられる。

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(左=川崎シングルグレイン1982-2009 65.4% Ichiro's choice=ベンチャーウィスキー 註
(右=Invergordon 1965 40yo 43.1% Clann Denny=Douglas Raing

歴史を見れば、モルトウィスキーが先に産声を挙げた。グレインの生産が本格化したのは19世紀半ばからである。グレインウィスキーもスコッチである(要件を満たせばという事だが)という司法の判断を受けて、モルトとグレインをブレンドして大幅にコストダウンを行いスコッチウィスキーの普及が一気に進んだ
それでも、Blend とは薄めるという意味ではないコストを下げるという意味でもない、 Blend とはあくまでも混合するという意味である。

wh80s01古い時代のブレンディドを飲む度に感じる事だが、ブレンディドにはモルト、グレイン単体では出せない世界が存在したのは確かである。グレインというキャンバスにモルトで描く絵画である。 グレインが糞ならブレンディドも又糞になるのは自明の理。モルトまで糞になって来ているのだから輪を掛けて糞と言われて反論は出来まい。

「モルトだけだと飲み難いのでグレインで飲み易い様に薄めたのがブレンディドウィスキー」という説明をする人間もいるが、それは間違いである。今は薄いモルトが糞なグレインで思いっきり薄くなっているのは現実だが、それは結果の問題である。飲み易いのとスカスカなのは違う。

現行品のブレンディド・スコッチを飲むと、嘗ての2級か、それこそ戦前の模造酒(飲んだ事ないがw)かと錯覚してしまう様なケースさえある。(多少言い過ぎかも知れないが…)
因みに、ジョニ黒の国内価格… 昔は1万円超、今は2千円台前半。昔と今では為替・流通・税制等が全く違うから簡単に比較は出来ないが、安かろう悪かろうになったのかという印象は拭えない。
ウィスキーメーカーのブレンダーは天才的な味覚嗅覚を持っているのは認める。嗅覚が犬並みかとすら思う場面もある。そんなブレンダー達を以てしても、原酒が悉く糞というのでは手の打ち様もあるまい
 
(隣の画像はWhite Horse・43%・恐らく80年代始めか)

 
優れた物が売れるのではなく、売れた物が優っているのだ今の世界はこういう風潮であり、この論理には正しい一面もある。
利潤を挙げれば官軍であるが、売り易い物、利幅が取れる物ありきではない筈である。

本当に優れた物を作り出す事が第一義でなければならない。
高額なだけの糞ウィスキーも要らぬ! 
高額なだけの糞ワインも要らぬ!
物の価値を真剣に考えなければ人類の文化も文明も木端微塵に飛ぶぞ
、そのうちに!



)三楽オーシャンが1969年に川崎市川崎区で稼働を開始したグレインウィスキー蒸留所だが、閉鎖は1990年代初頭と思われる。
メルシャン山梨ワイナリーで保管されていた川崎の原酒を、埼玉のベンチャーウィスキーが購入し製品化したのがこの川崎シングルグレイン



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Blend という言葉の意味を改めて考えさせられた件 Part 2

モルトウィスキーグレインウィスキーだが、スコッチだけでも生産量で比較すると全然桁が違う。 モルトの蒸留所は近年数を再び増やしてスコットランドだけで100近い数になっている。その中では年産数十万リットル(アルコールベースで)という小規模な所が数多く存在する上に、最大生産量を誇るGlenfiddich でさえ年産1000万リットル。年産300万リットルという程度でも大きい部類に入るから、ここの所の世界的人気で原酒の供給が逼迫し易い状況なのも頷ける。

これに対し、グレインウィスキーは現在、僅かな数の蒸留所で集中的に作られる形で、一箇所につき数千万~1億リットルというレベルで生産されている。 グレインウィスキーのスピリッツはサイレントスピリッツとも呼ばれる程、個性が薄いとされる。グレインウィスキーはいくら頑張ってもモルトの様な個性や味わいを持つ事は殆ど不可能。
グレインの殆どが連続蒸留機で作られるが、連続蒸留機にも色々なスタイルがある。一番古典的で小規模なコフィ・スティルは非常に少数と考えられる。その代表選手が、ニッカの宮城峡にあるスティルである、そこで作られるカフェ・グレーンは入手可能である。


スコッチの、グレインの蒸留所では、同系列ブランドのジン・ウォッカ・各種リキュール等のベースとなるニュートラルスピリッツも大量に作っている筈である。そこで、ニュートラルスピリッツ(日本でいう醸造用アルコール)を製造する序でにグレインウィスキーを作っている様にしか思えないフシがある。 マルチカラムと言われる様な大型の連続蒸留機で、ニュートラルスピリッツになってしまう直前の物をグレインの原酒として取り出している感じである。
大型の連続蒸留機でも、取り出すべき成分のバランスを調整している筈なので、ニュートラルスピリッツになってしまう事は無いが、歩留まり重視で高速に大量生産されたスピリッツはサイレント過ぎになる可能性が高く、これだけでウィスキーとして成り立つように出来るかと云えば、悲観的な答えにならざるを得ない。
そこに原料の問題も加わる。原料としては圧倒的にトウモロコシが多いらしくその次が小麦という模様。この二つ以外にもライ麦、ハトムギ、燕麦、大麦等々も使用可能である。
蒸留だけでなく、原料選び~仕込み~蒸留~熟成という所の全てが絡んで品質や特徴が決まる。

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(左=Carsebridge 28yo 56.9% James MacArthur のボトリング 
(右=Port Dundas 20yo Diageo によるオフィシャルボトル 
こちらの記事を参照)

実は、今の様に青天井暴騰相場になる前の4~5年前なら、60年代又は70年代蒸溜の長熟なシングルグレインがそれなりの価格で入手出来た、しかも、最高級のバーボンあたりを凌駕する出来の奴も結構あったのである。 グレインは所詮グレインと云って馬鹿にすることは必ずしも適当ではないのである。
あのD. ベッカム(David Beckham)がヘイグクラブ(Haig Club)というグレインウィスキー(青いスクエアボトルのヤツ)を大々的に宣伝したのは記憶に新しいが、モルトが品薄気味で価格高騰も留まる所を知らないという流れの現在、グレインウィスキーに新たな可能性を模索する動きが出ているのも事実である。


可能性を模索するなら、もっと丁寧にしっかり作れ と言いたい所だが…、

冗長になるのを防ぐため、この先はPart 3 に持ち越す事にする。


 

)Carsebridge はU.D.=United Distillers 傘下のグレイン蒸留所だったが1983年に閉鎖、92年には解体。一部機器はCameronbridge で再利用されている。画像のボトルは当然1983以前の蒸留
同蒸留所は1799年モルトの蒸留所として創業、19世紀半ばにグレイン製造に転向。1877年のDCL (Distillery Company Ltd.)創設と共にこれに加わった



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Blend という言葉の意味を改めて考えさせられた件 Part 1

ウィスキーには、Malt(モルト)Grain(グレイン)Blended(ブレンディド)と大別して3種類の物がある。モルトは麦芽100%で、これを醸造し更に蒸溜して作る。
蒸留方法は単式蒸留機での2回/3回蒸溜。グレインは麦類等の穀物に麦芽を少量混ぜた物を醸造→蒸留して作る。蒸留方法としては連続蒸留機を使用する。 モルトとグレインをブレンドしたらBlended Whisky=ブレンディド・ウィスキー となるのである。
この世の市場に出回るスコッチウィスキーの90%以上はブレンディドであり、モルトやグレインの単体の方が圧倒的に少数派なのである。

 

MaltGrain でも、単一蒸留所からの物ならSingle Malt (Grain)と名乗れるし、複数の蒸留所からの物の混合で作られればBlended Malt (Grain) と名乗る事になる。(Vatted の文言は使用禁止となった為)

Blended Whisky でも、Single Blended は存在し得るのであるし、実際に発売された事もある。同一蒸留所でモルトもグレインも両方作っていればこれは可能である。 Lochside (Highland、1957操業、'92休止、'97閉鎖)では両方作っていた時期があったので、 Lochside single blended whisky が近年リリースされた事があるのである。
 

ウィスキーの基礎的な話を頭に入れながら進めて行く訳になるが…、
酒の質は世界的にここ30年の間に非常に落ちていると言わざるを得ない、没個性化も進んでいる。没個性化はワインで顕著だが、ハードリカーでも同じ様なものである。ブラインドで次々と銘柄を当てるなんてテレビや漫画ではよくあるシーンだが、実際は一流のプロでもそんな風には行かない。まして今や没個性化の時代だから、益々困難になり、殆ど不可能になる時代も近いか(草)
ブレンディド・ウィスキーの話をすると、現行品を飲むと、兎にも角にも未熟なグレインウィスキーの非常に嫌な部分が目立つ。ハイボールにしてみると、舌の上にアルコール臭く+麦臭い厭な感じが露骨に顕れてお口汚しになる様なケースが頻発する。これは出来の悪いBurbon=バーボン又はCanadian=カナディアンに相通ずる所があるが、それよりもっとタチが悪い。(バーボン、カナディアン共々グレインウィスキーの一種である)


こんな物でも(混ぜ物無しの)ウィスキー100%という事になるのには納得しきれない部分が有る。それこそ、昔の1級、2j級というレベルのウィスキーでも飲まされている様な錯覚に陥る事すらある。
酒全体に言える事だが、歩留まり良く作る事が唯一のプライオリティになっているとしか思えない。生産効率という要素に加えて環境への負荷を減らすという錦の御旗までくっ付いているのである。 モルトウィスキーでさえレベルダウンが顕著で、ここ数年の価格暴騰もあって小生の興味もすっかり薄くなっているが、モルト以上に問題が大きいのはグレインではないかとも思われる。

mkl-leg70s01  jwbk80s01

(左=Mackinlay's Legacy 12yo 43% 1974年以前)
(右=ジョニ黒の恐らく80年代初頭のロット)

古い時代のブレンディドを飲むと、大事な事が判る。それは、グレインの部分も立派にウィスキーになっている事である。そしてこれは皮肉にも" Blend " という言葉の意味を今の私達に教えてくれるのである。
多少のヒネや劣化があっても、現行品の何倍も美味い事が圧倒的に多いのである。 左のMackinlay's Legacy はジョニ黒やChivas Regal 辺りとほぼ同レンジだが、現行の同級品とは比べ物にならない。古き良き時代のブレンディドウィスキーは侮れない、表情豊かで複雑さがある物も多いのである。


左画像のMackinlay's Legacy だって、いきなりフルーティー&スパイシーで出て来たかと思えば、その後心地良い麦感とオイリーさが前に出て来て、再びフルーティー&スパイシーに戻るという事を繰り返すが、樽の掛り方もなかなか良い。
このフィーリング、今のブレンディドはおろか、モルトでもなかなか出せないかも知れない。
歩留まりもビジネス上大事かもしれないが、もっと優先すべき事があるだろう!と我々が声を大にして言わなければならない時が来ている様に思う。さもなくば、文化も文明も破綻するのは必定か。


1回では冗長になる危険性があるので、この先はPart 2 へと持ち越す!

 

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