このlivedoor に移転してからワインの記事を書くのは初めてと思われる。小生としては珍しく、所謂新大陸のワインを取り上げる事となった。最初に述べてしまうが、今回のワインは新大陸ワインの一般的なイメージとは違うものと言える。

この作り手であるTruchard(トゥルチャード)の所在であるCarneros(カーネロス)といえば、カリフォルニア北部の有名な産地であり、Oakland(オウクランド)より北にあり、Mendocino(メンドシノ)よりは南である。
ただ、この場所はPinot Noir、Chardonnay のイメージが強いかも知れない。それもその筈、彼のJensen(ジェンセン)が本拠を置き、Taitinger(テタンジェ)がDomaine Carneros でスパークリングを作っている。
このワイナリーの歴史を辿ってみると、Lyon(リヨン)郊外の街で生まれ育ったJean Marie Truchard(ジャン・マリー・
トゥリュシャール)という人物に行き着く。彼は1887年にアメリカに移住し、先ずはテキサスでワイン造りをスタートしたが、如何せんテキサスの暑さには勝てず失敗に終わった。
そして一世紀近い時を経て、Jean Marie の孫のTony は医師を目指していたが、その学費を払う為1972年に陸軍の医者として韓国に派遣されるが、その後直ぐ妻が大怪我をしたのを機にカリフォルニアに転勤。
その後ある時、車でナパを訪れた際、カーネロスの放棄されたプルーン畑を預金を叩いて購入する事を決断。ここからこのワイナリーの歩みが始まった。


20エーカー(8ha程)でスタートしたこのワイナリー、今や400エーカー(栽培面積は280エーカー=約113ha)で11種類のワインを造る


truchard98aこのヴィンテージである1998年、Carneros の辺りはあまり暑い年ではなかった様である。その事で収穫がやや遅めとなりハングタイムを稼げたという。葡萄が木に付いている日数が長かったという事であり、理想的なハングタイムに近かったとも考えられる。
これとは逆に葡萄の成熟が早まってハングタイムが縮まるのは本来具合が悪い事なのである。

そして当のTruchard はこの年に設備改修で大きな地下カーヴを設けているから、記念すべき年のワインとも言える。樽は全てフレンチオークで新樽使用率は30%程度という事らしい。

色は深みと艶のあるガーネット
エレメントとしては、先ずブラックベリー、カシスという辺りが先頭に立ち、影からラスベリー、苺、クランベリーリコリス、なめし皮の様な感じが付いてくる。
更にはナツメグローズマリーラベンダーローズヒップ濡れた土、腐葉土、更にはグリオッティンのチェリー焼きたてのパンまで出て来る

18年経った今でも、酸・タンニン共々引き締まってややシャープさすら感じさせ、新世界的な感じはあまり見せない。これはハングタイムを稼いだ事の恩恵と言えるであろうか。


各要素の溶け込み方もなかなか良いので、不自然な繋ぎ目も見当たらず、アフターの長さは充分というレベルで、その残り方も切れ方も綺麗で心地良い。新大陸とは思えない様な結構シリアスな部分を見せるワイン
神田にある某酒屋で勧められて買ったのだが、これは大当たりだったと言える。


総体的にはPinot Noir 的なシルエットを著していた様に見えるが、間違いなく優雅で優秀なSyrah である。ボトルを見ずにテイスティングしたら、それこそCôte Rôtie(コート・ロティ)やCornas(コルナス)の様なローヌ北部の名醸達と見間違うかも知れない
何せ彼らのルーツであるリヨンはローヌの北の入口みたいな所、受け継がれた血流をこの1本を通じて見せたくれたと表現するのは強ちだろうか?

Les Meilluers Vins de France 的な感じで点を付けるとすれば… 18 / 20



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